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二次創作(はぴねす!)◆凍結中◆

はぴねす!SS『魔力の行方』|第十四話 前編




□■━ 4月11日 ━■□




―朝、教室




「・・・あ、頭が・・・」


昨日は結局、準との誤解が解けなかったわけだが。

しかしそんなことはこれっぽちもスケジュールを変更する要因にならず、放課後には母さんこと御薙先生によるスペシャル魔法授業。
なんでも、クラスEを取るにはとりあえず魔法式の数を詰め込む必要があるらしい。

―そんなわけで、アホほど酷使されたオレの繊細な脳ミソが悲鳴を上げているのだ。
つか、こんなペースで頭に魔法式を詰め込んでいって大丈夫なんだろーか。

何というか、頭がパンクしそうなんだが・・・こう・・・物理的に。

―とまあ、朝から自分の机に突っ伏して頭を抱えていると――



―ちょいちょい


「よっ。ちょっとええか?」


ふいに見知らぬ奴(どー見ても男だ)に、声をかけられた。

背の高さは俺と同じくらい。
顔は、ちょっとハチに似てるかな。
ツンツンに立てた黒髪が痛そうだ・・・


「・・・・・・。・・・えーと、、君は・・・うーん・・・うーんと・・・」

俺は酷使された脳を必死でフル回転。

こ奴の名をサルベージすべく、記憶の海をどんぶらこ・・・
―がしかし、出てくるのは魔法式魔法式魔法式・・・

「・・・むむむー・・・うーむ・・・」

先週、自己紹介・・・してたはずなんだ。

――うーん、全然出てこねぇ。
恐るべし、母さんの詰め込み学習・・・


「・・・叶や、叶。『叶 真吾(かのうしんご)』。――自分、人の名前覚えんの苦手やろ」


「・・・ああ、悪い。――俺は小日向雄真。よろしく、叶」

「こっちこそ、よろしゅーな。―あと、ワイのことは真吾でええわ」

「―なら、俺の方も雄真でいいぞ」

「りょーかいや、雄真」

―何か、かなり気さくな奴だな・・・それに・・・大阪弁?



「―ところで、何か用があったんじゃないか?」

「おおっ!そやそや!挨拶も大事やが、本題はそっちちゃうねん!」

―そして真吾は、少し顔を近づけ声を潜める。


「―雄真。『長いものには巻かれろ』っちゅう言葉、知ってるか?」

「・・・・・・は?」

いきなり何だ?

「・・・これは忠告や、雄真。入学早々、数少ない男のクラスメイトを辞めさせとうないんや」

「・・・・・・。すまん、話が全然見えないんだが・・・」

「せやろせやろ。高等部から入学してきたやつは知らんで当然や」

そう言いながら、ポンポンと俺の肩を叩く真吾。


「―だからこその忠告や。何も知らんでいきなり退学は嫌やろ?」

「た、退学っ!?」

「まあ、そうなってもおかしないってことや」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。―俺、退学になるようなことした覚えがないんだが・・・」

「―確かに、直接退学になるような行為はしとらん」

「・・・だったら、何で――」


「―入学して早々、レアなマジックワンドで自己紹介。翌週には、神坂春姫、柊杏璃と一緒に登校しとったやろ?」

あちゃーってな感じで、真吾は続ける。

「どー考えても、ヤツに目をつけられとる。確実や」


「―ヤツって、誰?」


「『七院 恭也(なないん きょうや)』。――七院家の跡取り息子でクラスメイトや」


「・・・あ」


「おっ、さすがに覚えて――」

「・・・どんな奴だっけ?」

「――へんのかいっ!?」


ぺしん!


こ、これは――!!


「・・・おおぉおぉおおっ!これが、本場のツッコミ!!」

「―ど、どうしたんや雄真――テンションがおかしいで?」


「―し、師匠っ!!」

「誰が、師匠やっ!!」


ぺしん!


「・・・素晴らしい・・・」

「―何がっ!?今のやりとりの中で、そないに誉められる部分あった!?」


―さすが、ツッコミの本場・・・
―あのレベルのツッコミを意識せずに行うとは・・・

―いや。俺にも出来るはずだ!!


「――こうだっ!!」


バペシ!


「―まあ、とにかくや――っていたっ!いきなり何すんねん!!」


「え?ツッコミだけど・・・?」


「―何で!?ツッコまれるようなことしてないやろ!?」

「いや、俺にも出来るかな~って――」


「アホかーーーっ!!!」


「そんなに怒らなくても・・・しゅん」


「しゅんって実際に言う奴、初めて見たーーーっ!!」




―――――




「―なんだか、あの二人・・・楽しそうね・・・」

「そーだね――前からの知り合いなのかな?」

「そんなはずないわよ。アイツは高等部からでしょ?魔法からも遠ざかってたらしいし―」

「―あ、そーだったよね・・・」

「まあ、あの二人はいいとして――」
「―問題なのは・・・残る三人ね・・・」

「・・・問題って?」


ガラガラ――


「―うわさをすれば・・・・・・ね」




―――――




「―げっ!?雄真がアホなことしてる間に、七院のヤツ来てもうたがなっ!!」

「―え、俺の所為っ!?」


「・・・しゃーないな。小声で説明したるから、ヤツのことよ~見ておくことや」

「―あ、ああ」

俺は頷き、さっき教室に入ってきた三人の男子を目で追うことにした。


スタスタ――ザッザッ

スタスタスタ――ザッザッザッ

スタスタスタスタ――ザッザッザッザッ


(―なあ、叶)

(ん。なんや?)

(―あれ、おかしくないか?)

(何がや?)

(一番前を歩いてる奴はいいとして、その後に等間隔で引っ付いてる二人)

何か、付き従ってる感じがバシバシするんだが・・・

(―ああ、あれは見たまんまや。『主人』と『従者』)


「っ!?従者っ!?」


(声がでかいわ、アホ!あの程度で驚いてどないすんねん!)

(わ、悪い――ってあの程度!?)

(そうや――これからやで)


ゴクリ


そう言われて俺は、固唾を呑んで三人の次の行動を見――と、
先頭の奴(七院?)が、とある席の前で歩みを止めた。


「おはよう、神坂。柊」

「―お、おはよう。七院くん」
「・・・・・・おはよ」


(・・・なんだ、神坂さんと知り合いなのか)

(―まあ、知り合いって言ったら知り合いやけど。有り体で言えば、中等部の頃から七院の奴が、神坂さんにずーっとモーションかけ続けとる状態やな)

(・・・ふーん。―で、何で柊の奴はあんな顔してるんだ?)

(―わからん。単に機嫌が悪いんとちゃうか?)

―そうかな、、あの顔はハチと会った時の顔に似てるような・・・



「―そう言えば、二人とも。昨日はマジックワンドの彼と登校してたらしいじゃないか。―水くさいなぁ、俺にも紹介してくれよ」

と言いつつ、こっちを一瞥する七院。


(まずいで、早速仕掛けてきよった!)

(―え、何が?)


「い、一緒に登校した訳じゃなくて・・・寮の前で偶然会ったんだよ。―ね?杏璃ちゃん」

「・・・そうね。―でも、そうなると寮からは一緒に登校したことになるわよ?」

「あ、あれ?―じゃあ、一緒に登校したことになる、のかな?」

「―ふーん・・・そういうことなら、是非とも挨拶しておかないとな」




第十三話へ  ⇒第十四話 後編へ(制作中)


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

すんません、、半分だけの更新です。。

あと半分、クラスメイトとのゴタゴタ予定です。

次の話で、多分急展開かなぁ。

雄真、詩織らへんの行く末が見えてくるカモ。

ちなみに、後半の前に”生徒会シリーズ”の二次創作を公開する予定っす。

そっちもよろしくです~



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はぴねす!SS『魔力の行方』|第十三話


―食堂『Oasis(オアシス)』



準の誤解を解くべく、二人を説得し初めて数分後。


「ちょっと雄真、まだ言う気!?しまいには怒るわよっ!!」

「小日向くん。いくら照れ隠しって言っても、限度があると思うの」

「いやいや、だから本当―」

「しっつこい!!もう完全に見損なったわっ!!」

「―あの頃の小日向くんなら、そんなウソ言ったりしないよ!!」


俺の株大暴落ー!!

事実を言ってるだけなのに!!


「―こうなったら、ハチっ!お前の出番だっ!!」

コイツにはあまり頼りたくないが、仕方ねぇ!


「―怒ってる美少女もまた格別っ!!雄真っ、グッジョブ!!」


「・・・・・・」


コイツに頼ったオレがバカでしたっ!!


「・・・万策尽きた・・・」

これがアウェーってやつか・・・
周りには味方など一人もいない・・・(アホならいるが)
果たしてオレは、無事に昼飯を食べられるのだろーか・・・


「まだだぜっ!!相棒!!」

声の主は、オレの右腕のブレスレット(ゼク)だ。



二人の視線がオレの右腕に集中したのはいいが―


(―おい、何言う気だ?ゼク)

(オレ様に任せとけって、相棒!)

(―援軍は嬉しいが、この不安感はなんだろう・・・)

(ようは、相棒のダチが男だってわからせりゃいいんだろ?)

(まあそうだが―)


「―おい、嬢ちゃんたち。相棒の言ってることは本当だ。このオレ様が保証するぜ」


「「嬢ちゃん!?」」


ん?
明らかに誰の声でもない声が聞こえたぞ。


「マジックワンドが、春姫(杏璃様)に向かって何と言う言葉使いですか(じゃ)!」


一つは、若い女性の声。
もう一つは、礼儀正しい執事を思い起こさせる声。


「ん?―ああ、嬢ちゃんたちのマジックワンドか。お堅いねぇ。ご主人さま命ってか?―ハハハッ」


「「・・・ッ!?」」


おいおい、明らかに怒ってるぞ。

「ったく、今どきのマジックワンドってのはみんなそうなのか?もっとお気楽にいこーぜ」

怒っているのに気付いているのかいないのか。
いつもの調子でしゃべるゼク。


「・・・は、春姫!!」

「な、何、かな?ソプラノ?」

「あの下品で、品性の欠片もないマジックワンドを破壊しますよ」

「ええっ!?は、破壊!?」

「ソプラノ殿、この私もお手伝いしますじゃ!」

「パ、パエリア?」



(おいゼク!やたら物騒な話になっちまってるぞ!)

(ったく、今どきの若い奴は・・・なあ?相棒)

(俺に同意を求めるな!つか、お前があおったんだろ!)



「・・・さあ春姫。遠慮など必要ありませんよ?術者もろとも黒焦げにするのです」

「く、黒焦げっ!?」

「・・・杏璃様。遠慮なぞ無用ですぞ?粉々に吹き飛ばしてしまいましょうぞ!」

「こ、粉々っ!?」

「おい、若造どもが!オレ様たちとやろうってのかよ!?」

「たち!?」


――そこへ、飯を温め直してもらった準がカムバック。


「あっれ~?みんなまだ食べてないの?もしかして・・・あたしのこと待っててくれてたとか?うれし~い!」

ホカホカと湯気が出ているトレーを両手に、ニコニコしながらこっちへ近づいてくる準。


うーがーっ!!
こんなややこしい状態で、さらに準!?

「無理っ!!絶対無理っ!!」

俺のスペックでは収拾つかん!


「・・・えっ!?雄真ったら、まだ一口も食べてないのにお腹いっぱい?」

「違うわっ!!」



「春姫。準殿に気をとられている今がチャンスですよ」

「で、でも」

「杏璃様。我らの力を思い知らせるのですじゃ」

「ほ、本気なの?」

「てめえら、聞こえてるぜっ!・・・やれよ。やれるもんならやってみろぉおおおっ!!!」

「こっちは、何かさらにヒートアップしてるし!?」


「―え?何なに今の声!?誰がしゃべってるの?」

「悪いが、今は説明できる状態じゃな――」

「相棒!!この若造どもに礼儀を教えてやろーぜっ!!」

「―ええいっ!うるさい!」


「ひっどーい!!教えてくれたっていいじゃないの!雄真のケチ!!」

「あ、いや。今のはお前に言ったんじゃなくてだな――」


「―小日向殿、お覚悟はよろしいでしょうか?」

「・・・小日向くん・・・ごめんね・・・」

「―雄真殿、最後に何か言い残すことはないですかな?」

「・・・雄真、あんたとの決着がこんな形になるなんて・・・」

「いやいや、二人とも!?何やる気になってんの!?」


「ちょっと雄真っ!!あたしの話聞いてる!?」

「相棒!!戦闘準備だぜ!オレ様の封印を解いてくれっ!!」


「むがーーっ!!!」(もう無理です!!)


「―あ。雄真が壊れちゃった・・・」


「壊れてねぇっ!!!」




―――――




・・・カチャ・・・カチャカチャ・・・


俺たちのテーブルでは、食器の音だけが響いていた。


「・・・・・・・・・」


あれから―

何で俺がこんな役割をしなきゃならんのだと世の中の理不尽さを嘆きつつ―こんな場所で魔法を使ったら退学になるよだからやめてくださいお願いしますまだ退学になんてなりたくないんですと哀願した結果―

マジックワンドたちは、一時休戦。
時間が無いからまず飯を食おうってな感じになったものの―


―何ですかこの雰囲気。


「ん~っ、おいし~!やっぱりオアシスの唐揚げは最高よね~」

ったく、のん気に唐揚げをパクついてる場合じゃねーよ。
つーか、元はと言えばお前の言動の所為じゃねーかっ!


見てみろよあの二人の態度―

「「・・・・・・・・・ソワソワ」」

何かソワソワしながらも、こっちをチラチラ見てるし!

やっぱり、全く誤解が解けてねぇー


―さて、どーする?

とりあえず、いつものシミュレートをしてみよう。


『・・・・・・・・・・・・』

ダメだ。
何から話せばいいのか出てこねぇ・・・

いや。
この際いっそガツンと―

『準!!お前は男だーっ!!』

『むぐっ!?―き、急にどうしたのよ、雄真!?』

『お前は男だよなっ!!』

『・・・む。―雄真、一体何度言ったらわかるの!?』
『―あ・た・し・は、身も心も女よーーっっ!!!』よーーっっ!!!』よーーっっ!!!』


・・・ダメだな。


「――あの」


―む、そうだ。

さりげなく会話に入れ込むのはどうだろう。


『おうっ!?このコロッケ、かなり冷めてるけど、うまいなぁー』
『そー言えば、か~さんが北海道産の男爵イモを使ってるとか言ってたなぁー』
『―ん?・・・男爵イモ・・・男爵・・・男・・・・・・』

『―そー言えば、準。お前は男だよなー?』


ありえねーっ
何かもうすっごい無理があるーっ!


「――あ、あのー」


こうなったら、かなり不本意だが下手にでるしか―


『・・・・・・準』

『ん?なーに、雄真。唐揚げほしいの?』

ガバッッッ→俺が床に伏せる音

『この通りだ準っ!!この二人に自分が男だって説明してくれーっ!!!』


ぎゃああああああっ!!

アホか俺はっ!!!


「・・・あの、、」
「・・・うーん・・・・・・タマちゃん、GO!」


――びゅん

ドゴッ


「―っっ!?」

何かが高速で、鼻先を掠め―
俺の足元にめり込んだ――って、この緑色の物体は確か・・・


「「・・・た、高峰先輩っ!?」」


「ん?―ああそうそう、そんな感じの名前だったっけ、この緑の奴の所有者」

長い黒髪で、すごい美人な――って目の前に本人っ!?


「―皆さん。お食事中に失礼しますね」

そう言いながら、ペコリとお辞儀して俺に向き直る高峰先輩。

「―雄真さん、その節は大変ご迷惑をおかけしました。あれから、お身体の具合は悪かったりしませんか?」


「「「「ゆ、雄真さんっ!?」」」」


「―あ、ああ、えーっと、だ、大丈夫ですハイ」

「それは良かったです。・・・あの時は急いでらしたので、きちんと確認もできなかったですし―」

「いやいや、特にケガとかしたわけじゃないんで。高峰先輩が気にすることは―」

「―雄真さん。私のことは”小雪”でいいですよ?」


「「「「こ、小雪っ!?」」」」


「―ああ、そうでしたね。・・・じゃあ、小雪先輩で」

「・・・もう。”先輩”もいりません」

ちょっと怒ったフリをする先輩。
うおお、可愛え~っ



「がぁあああああっ!!!雄真っ!!!いつの間にお前は、あこがれの先輩と仲良く――グボァッ!」

「―ハチ、邪魔!!ここはあたしが――」


「「ちょーっと、雄真(小日向くん)!!!」」


「―っ!?は、はい!?」

何だ何だこの二人の剣幕は!?


「何で、あんたごときが高峰先輩と知り合いなワケっ!?」
「高峰先輩と知り合いなんて・・・やっぱりすごかったんだ、小日向くん!」


え、えっ!?どゆこと?

「何で二人が、高み――こ、小雪さん―のこと知ってるんだ?」


「・・・あんたねぇ。それ本気で言ってるの?」

「???」

「・・・はぁ。どうやら本当に何も知らないようね・・・」

何がだ?


「―杏璃ちゃん。そう言えば、御薙先生が『しばらく魔法から遠ざかってたのよ』って言ってたような・・・」

「えっ?―そんなはずないわよー。だって、毎朝詩織と――「えいっ」―むぐっ」

俺は慌てて貴重な昼飯のコロッケを杏璃の口に放り込んだ。


「むぐぅ!むぐむぐっ、むぐーっ!(ちょっと!?いきなり何すんのよーっ!)」


―ったく、迂闊な奴め。
鍛錬のことを軽々と話そうとしてんじゃねぇ!

くそ~・・・俺の貴重なコロッケが・・・


「こ、小日向くん!?急にどうしたの?――杏璃ちゃん、大丈夫?」

―もきゅ!(大丈夫よ!)

「けど・・・口の中いっぱいみたいだよ?飲み込めるの?」

・・・も、もきゅもきゅ。(な、何とかしてみるわ。)


もきゅ・・・もきゅもきゅもきゅ―

もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ~


おお、小さな口を一生懸命動かしてコロッケを飲み込もうとしてる!!


・・・もきゅもきゅもきゅもきゅも―


まるでリスだな・・・


「頑張って!杏璃ちゃん!!」

―も、もきゅもっきゅ(や、やっと半分くらい)

「え!?まだ半分なの!?すっごい大きいコロッケだね!」


―いやいや、一口コロッケですよ?

つか、何で神坂さんはコミュニケーションとれてんだ?
俺には、もきゅもきゅ言ってるようにしか聞こえんのだが・・・



そして――

もきゅもきゅもきゅ・・・ごくん


「ふぅ。―ちょっと、雄真っ!!丸々一個なんて一口で食べれるわけないでしょ!!あたしを殺す気っ!?」

「そうだよ、小日向くん!おかずを交換するにしても、ちょっと強引すぎるよ!」

「・・・いや、別におかずを交換したかった訳じゃないんだが―」


「―じゃあ何?あんたはあたしの口を塞いで殺そうとして、あのでっかいコロッケを口に無理矢理突っ込んだってわけっ!?」

「『殺そうとして』と『でっかいコロッケ』を除くと、概ねその通りだ」

「―じゃあ何?あんたはあたしの口を塞いでーーーーー、あのーーーーーーーを口に無理矢理突っ込んだってわけっ!?」


「だぁあああっ!!単語だけ除くとすっごい犯罪っぽい感じにっ!?」


「――あ、あんた、あたしに何する気っ!?」
「・・・なんだか、犯罪の匂いがするね・・・」
「雄真ってば、サイテー」
「・・・雄真、お前・・・ついに・・・」


「―雄真さん、犯罪はいけませんよ?」


「ご、誤解だぁああああっ!!!」




――さて、
話が脱線しまくったあげく、危うく警察を呼ばれるとこだったが・・・

ようやくさっきの話の再開である――

小雪さんについて、杏璃が得意気に話し始める。


「世界最高の先見の魔法使い『高峰ゆずは』理事長。その娘で、親おも凌ぐ才能を受け継いでいると言われているのが、『高峰 小雪』先輩なのよっ!そして―」


「―おっと、その続きはこのハチ様にまかせろっ!!」


呼ばれてもいないハチが、杏璃のセリフの途中から割り込んでくる。

セリフを途中で切られた杏璃は、ハチを睨んでるし。
それに気付いてないハチ。
―ふむふむ。こうやって嫌われていくのか・・・哀れハチ。


「瑞穂坂学園に通ってる生徒であれば、魔法科・普通科を問わず誰でも知ってる超のつく有名人!!占い研究部の部長もやってて、その占いの精度は100%で外れなし!!」
「―また、その可憐なお姿にメロメロなファンが、学内外で多数存在!!先輩がいるから瑞穂坂学園を受けた奴も大勢いるのだ!!非公式ファンクラブ『K・K・K(こん・こん・小雪ちゃん)』の会員数は、現在約200名!このオレももちろん会員だぜっ!!」

「・・・ハチ、お前・・・まだ入学して2日目だぜ?何でそんなに詳しいんだ・・・」

「フッフッフ。―愚問だな雄真。このハチ様の情報収集能力は美少女関連にのみ、最大限に発揮されるのを忘れたかっ!!」

「・・・何の役にも立たない能力だがな」

「何を言うかっ!その筋では『情報屋ハチ』として、気になるあの娘やこの娘の極秘情報を格安料金で提供――」

「金取ってんのかよっ!?」

「―かの有名な情報屋もこう言っていた。『情報だよ情報。情報を持ってりゃ金になる』ってな」

「・・・元ネタが分かる奴いんのか!?」

「―正確無比な美少女情報を、圧倒的なスピードで提供する情報屋に、俺はなるっ!!」

「そんな風に『海賊王になる!』的なノリで言われてもな・・・」



バンッ!!


「―そんな下らないことはどーでもいいのよっ!!」


おっと、杏璃復活。


「―コイツの言った通り、先輩はちょ~~有名人で、ちょ~~人気者なの。あたしだって、中等部時代からの憧れの先輩なんだからっ!!」


「・・・ガーン。・・・コイツ・・・コイツ・・・・・・」

あーあ、コイツ呼ばわりされたハチが、泣いておりますよ?


「その高峰先輩がっ!なんで雄真ごときと親しげにっ!!―あたしなんて、話したこともないのにーっ!!何で!?何でなのーっ!?ムキーーーーーーーッ!!!」

「あ、杏璃ちゃん!気持ちは分かるけど、落ち着いて!!」

「これが落ち着いていられる訳ないでしょ!!―さあ雄真っ!どうやって知り合ったか吐きなさーいっ!!!」


「・・・それ、今でないとダメか?先に飯を食っちまいたいんだが――」

「ダメっ!!!今すぐっ!!!」

「・・・勘弁してくれ・・・」



「―それでしたら、私の方から説明しましょうか?」



「ええっ!?そ、そ、そそそんな、せ、せせせ先輩の――(ごにょごにょ)」


「―あれは桜の花がとても綺麗な入学式の日でした―」


杏璃、緊張しすぎだろ・・・
小雪さんはすでに話し始めてるし・・・

「―あまりにも綺麗な桜で、天気もすごく良かったので、ちょっと散歩をしていたんです」
「その途中、ちょっと桜に見とれてボーっとしていたところ、タマちゃんを落としてしまって・・・」
「・・・まさか・・・あのようなことになるなんて・・・」

「―え、特に何もなかったはずですけど(ちゃんと避けたし)」


「―地面に・・・大穴を開けてしまいました・・・」

「ええっ!?そっち!?」


「そして、運の悪いことに落下地点には雄真さんがいらしたのです・・・」

「・・・何か、俺のことはついでみたいな感じですね・・・」


「―雄真さんは急いでらしたのに、大変なご迷惑をおかけしてしまいました・・・。校庭に穴まで開けてしまいましたし・・・」


「ふむふむ、なるほど。―雄真のバカが、高峰先輩にご迷惑をおかけしたってことはわかりましたっ!!」

「お前!全然わかってねーじゃねーか!!」




キーンコーンカーンコーン


「あっ、予鈴だわ。まずいわね、いくわよハチ!」

「―ちょっとまて準。オレはまだ小雪先輩に挨拶してな―――グボァッ!」

「早くしないと遅れちゃうでしょ!!―じゃ~ね~、雄真~っ」


「―おいいっ!?ちょっと待て、準!せめて、自分は男だと明言してから――」

「あっ、言うの忘れてたわ~、危ない危ない」


おおーっ、これでやっと誤解が解け――

「―例のデート、今週末の日曜日だからね~。んじゃね、バイバイ~」

――るかぁあああっ!!!



第十二話へ  ⇒第十四話(前編)へ


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

はい、久々の更新です。

次回からは、クラスメイトとかも登場して、
結構更新し易くなる予定です~。

この話くらいまでが、導入部分?な感じなんで、
これからカムカムが思い描いてた物語が始まるのかな?

まあ、よろしくお願いします~♪


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はぴねす!SS『魔力の行方』|第十二話

□■━ 4月10日 ━■□



―小日向家、玄関前




「いってきまぁす」

「いってらっしゃい♪」


か~さんに見送られ、俺は玄関から出て学校へと――


「おっそぉぉーいっ!!あたしを待たせるなんて、あんた何様のつもりっ!?」

小日向家の玄関前から響き渡る杏璃の声。


「あー、うるせーな。近所迷惑だろーが」

「ちょっと何その態度っ!?あたしを待たせたんだから、それなりの態度とりなさいよっ!」

「アホかお前は。30秒かそこら待たせたくらいで、何言ってんだ?」

「あ、アホですってぇぇえっ!!」



さて、
今日から授業が始まるんだが、何故杏璃がここに居るかというと――


朝の鍛錬後、

『あっ、そうそう雄真。今日からあたし、ここから学園行くから』

『ん?ここってウチからか?』

『そーよ。一度寮に帰ってから行くのも面倒だし』

『まあそうだな。でも、制服はどうするんだ?』

『へっへーん!ばっちり持ってきてるわよっ』


ということになった訳。




で、
キーキーうるさい杏璃と肩を並べて学園を目指していると。


「・・・そーだったわ。鍛錬とかですっかり聞きそびれちゃってたけど、あんた昨日春姫に何したのよ?」


「っ!?か、神坂さんから何か聞いたのか!?」

・・・ま、まさか、あのクサいセリフを!?

「・・・別に詳しいことは聞いてないわよって言うか教えてくれなかったし」

な、ナイスだっ、神坂さんっ!

「春姫ったら、寮に帰ってくるなり――『杏璃ちゃん、心配かけてごめんね。もう大丈夫だからっ!』とか言って、急に元気になってるし」

「ふ、ふーん。そーなんだぁ」

「あたしとしては、元通りになってくれればそれでいいんだけど・・・あんた、本当に何したのよ?」

「・・・べ、べべ別に、二人でちょっと話しを――」


ドンッ!

「ぐべっ!」

正面から俺の胸に飛び込んできた人影が約一名。
そいつは、俺の背中に手を回して抱きついてくる。

こんなことする奴は、俺は一人しか知らん。


「おっはよ~、ゆ・う・まっ♪」

「こら、準っ!毎回言ってるが、いきなり飛びついてくんな!それに抱きつくな!」

「え~、ダメなの~?久しぶりに会ったっていうのに」

「お前、セリフまで前回と全く同じ登場の仕方じゃねーか!」

「いいじゃないのー。わかりやすいしっ♪」

「コピペだと思われるだろうがっ!ちっとは変わった登場の仕方しろっ!気を使え!」

「むー。わかったわよ~。じゃあ――」


「勘違いしないでよねっ!!雄真を待ってた訳じゃなんだからねっ!」


「・・・はぁ?何言ってんだ?待つのが嫌なら先行ってれば――」

「ちっがーう!!額面どおりに受けとめてどうすんのよ!?これは『ツンデレ』よ、『ツンデレ』っ!!」

「ツン・・・何?」

「・・・まさか知らないとは・・・。貴重なキャラだわ・・・」




じぃー



ん?何か見られてる?

ふと見ると、杏璃がじぃーっとこっちを見ていた。


「・・・あらっ?」

どーやら準の奴も気付いたようだ。


「「(ちょっと)雄真。この娘だれ(なの)?」」




まあとりあえず、定番の自己紹介。

「あたしは、『渡良瀬準』。雄真とは前の学校からの付き合いで、今は雄真の彼女よっ☆」

「ぶふっ!?」

「あら、雄真。どうしたの?」

「どうしたもこうしたもあるかぁ!!何でお前が――むぐっ!?」

「はーい、次はあなたの番よ~」

「むっ、むぐぅ!むぐむぐっ!!」

「??――あたしは、『柊杏璃』。雄真とは魔法科のクラスメイトよ」

「あっら~、雄真ったら入学早々にこーんな可愛い娘と知り合いになったの?やらしーっ」

「そうだそうだ!!俺にも美少女を紹介しやがれーっ!」


「ぷはっ!いつのまにハチがっ!?」


「―杏璃さん。俺の名前は『高溝八輔』。ただ今一押しのナイスガイです。―どうでしょう、今度二人っきりで食事でも。キラッ⇒歯の光る音」

「・・・は?」

杏璃はあからさまに、いやーな顔をしながらこっちを向く。

「ああ、そいつはハチだ。準と一緒で、前の学校からのツレ」


それを聞いた杏璃は、まだ歯が光ってるハチをじっと観察し――

「・・・・・・キモいわ」


「ががーん!!」

がっくしと崩れ落ちるハチ。

うむ。見事にストレートな玉砕だ。


「まあ、ハチは置いておくとして。雄真ったら、こ~んな可愛い彼女が居るのに浮気とは許せないわね~」

「・・・あのな、準。そろそろ怒りますよ?」

「や~ね~、冗談に決まってるでしょ。ほらほら、早く行かないと遅刻よ~」

そう言って準は、先頭に立って歩き出す。

何か納得いかんが、遅刻はごめんなので俺も歩き出す。

「―ったく・・・ん?」

ふと後ろを見ると、杏璃が微妙な表情をして突っ立ったままだ。

「おーい、杏璃。急がないと遅刻だぞー」

「・・・あ、う、うん」

追いついてきた杏璃は、何故か俺の隣には並ばず、俺と準の少しあとを付いてきた。

ちなみにハチは――

「・・・キモい。俺はキモかったのか・・・」

結構ショックを受けていた。





そんなこんなで、学園まであと少しという場所に差し掛かり――

「あっ、あれ春姫だわ」

どうやら杏璃が神坂さんを発見したらしい。


たしかに、昨日通った女子寮前に鳶色の髪をした女の子が一人。
どう見ても神坂さんだな。
誰かを待ってるみたいだが・・・

「むー」

昨日、あれだけ恥ずかしいセリフを並べただけあって、会うのがちょっと気恥ずかしい。


「春姫ーっ!」

杏璃が大声で神坂さんを呼ぶと、ちょっと不思議そうに小走りに近づいてくる。

むむむ、まだ心の準備が―


「お、おはようー、杏璃ちゃん。朝からどこ行ってたの?・・・あれ?小日向くん?」

げっ、よく考えたら杏璃と一緒に登校なんてヤバいじゃねーか!
朝の鍛練がバレる危険性が――


「は、春姫っ!あたし、今日から朝練することにしたの!――で、その帰りに雄真と偶然会っちゃって!」

・・・び、微妙に苦しい理由だな・・・こんなんで誤魔化せるのか?


「え、そーなんだ。言ってくれれば、私も付き合ったのに・・・」

あっさり、信じたっ!!

「だ、ダメよっ!ダメダメ!春姫に追いつくための練習なんだから、春姫と一緒にしてちゃ意味ないでしょ!!」

「うーん、そういうものなのかな?」

「あったり前でしょ!」

うーむ、神坂さんってもしかして天然キャラ?


見ていると、神坂さんはこちらを向き――

「おはよう、小日向くん」

「ああ、お、おはよう。神坂さん」

・・・むぅ、何ていうか――普通だ。

気恥ずかしく思ってるのは俺だけ?



つんつんつん・・・


ん?何だ?


つつんつんつんつん!!つつつつつつ!!


俺の左半身が北斗●拳ばりの勢いで突つかれてるんだが・・・いててててっ!


―見ると、準の奴が頬をぷくっと膨らましつつ、不機嫌そうな顔で俺を突つきまくっていた。

「ちょ、準っ!?―何してんだよ!?いてててっ!」


「な~にが、『何してんだよ』よっ!!雄真こそ、何してるのよっ!!」

「何もしてねーだろっ!」

「してるわよっ!!―入学早々、あたしに内緒で美少女と仲良くなっちゃって!それも二人もっ!!」

「そうだそうだぁ!!なんで雄真ばっかり!俺にも出会いをくれー!!」


「は、ハチ!?どっから沸いてきた!?」

さっき杏璃に玉砕して、置いてきたはずだが―

「はっはっは!愚問だな雄真っ!美少女いるところに俺様ありっ!俺様いるところ――ぐぼ%@え¥*らっ!!」

準の回し蹴りがハチの顔面に炸裂。
ハチはぐるぐると回転しながら電柱に突っ込んでいった。

「ハチ!邪魔っ!!今はあたしが雄真と話してるんだからっ!」

哀れハチ・・・骨は拾ってやらんけど、半年に一回は思い出してやるから。


・・・それにしても、何で準はこんなに怒ってるんだ?



「――うふふふっ」

俺らの様子を見ていた神坂さんが、可笑しそうに笑って―

「すっごく仲、良いんだね」


―と、おっしゃりましたよ?

・・・今のやりとりの中に「仲が良い」と思われる部分ってあったっけ?やっぱり天然?



「あら、当然じゃな~い。なんたって、雄真はあたしの彼氏――むぐっ!」

「もうそれはいいから!マジで勘違いされたらどーすんだっ!?」

むーむーと暴れる準だったが、ふと動きを止めると自分の手首あたりをしきりに指差しだす。


何だ?時計?


自分の時計を確認してみると――

「げっ!?予鈴まで五分しかねぇーっっ!!」

授業開始初日から遅刻はヤバい!


「ヤバいぞ!急がないと――って!?」

周りを見るも、すでに誰も居ない・・・

置いてきぼりかよっ!!





―まあ一応、予鈴には間に合ったんだが・・・


「雄真っ!あんたの所為で、あたしたちまで遅刻しそうだったじゃない!」

「ちょっと待て。俺一人の所為じゃ――」

「問答無用っ!!お昼ご飯はあんたのオゴリだからねっ!!」


「あ、杏璃ちゃん。ちゃんと間に合ったんだし、別に―」

「あっまぁぁーーーーーいっっ!!春姫は甘いわっ!完熟イチゴよりも断然甘いわっ!!」

「・・・意味わかんないよ、杏璃ちゃん。たしかにイチゴは大好きだけど・・・」


キーンコーンカーンコーン


ガラッ


「はーい、ホームルーム始めるわよー。みんな席についてー」

ニコニコと微笑みながら、母さんこと御薙先生が教室に入ってきた。


それを見た杏璃は、自分の席に向かおうとしたが一度振り返り――

「雄真っ!お昼は絶対オゴリだかんねっ!」

と捨て台詞を残して、ツカツカと歩いていった。


「じゃあね、小日向くん」

と言ったのはもちろん神坂さん。
杏璃とは正反対の穏やかな態度で、スタスタと自分の席へ向かっていった。


うーむ。
ここまで正反対の性格で、よく一緒にいられるなぁ。

俺は少し感心しながら、自分の席へと向かうのであった。








―正午過ぎ、食堂『Oasis(オアシス)』




「さーて、何をおごってもらうかしらー♪」

ご機嫌な杏璃は、るんたったと食券の販売機へと歩いていく。


「―ったく、そんな高いのは無理だからなーっ!」

聞こえてるのかいないのか、杏璃は食券の販売機の前で「むむむ」と唸っている。



さて、ホームルームが終わって一息つく暇もないまま、杏璃によって引きずられてきたわけだが――
すでにOasisは生徒たちでいっぱいだ。

ホームルームのある分、魔法科の方がやっぱり出遅れる訳であり。

何で、ホームルームがあるかというと――そう!魔法科は魔法実習が始まる来週まで、午前中の普通授業だけなのだ!ちなみに、魔法実習が始まると、午後の授業が丸々魔法関係の授業に当てられる。

―まあでも俺の場合、昼からは地獄の魔法特別授業by母さんがあるので、特に恩恵は感じられん。。



「ちょっと、春姫ーっ!あんたもこっちに来て選びなさいよー!」

「えっ!?わ、わたしは自分で買うから―」

「何言ってんのよ!あたしたちは、遅刻させられそうになったのよ!?いわゆる、えーっと、損害賠償請求なのよっ!」


―いやいや、実際に遅刻してないから損害発生してねーし。


「で、でも・・・」

ちらちらとこちらを伺う神坂さん。


「―神坂さん。あー、その、なんだ―」

う~、やっぱり昨日の一件があるから、気恥ずかしい・・・

「―俺の所為で、いらん心労かけたようだし、遠慮せずに好きなもの選んでくれてかまわないぞ?」


「―えっ!?そ、そんな・・・悪いよ、やっぱり―」


「いいからいいから―って、おい杏璃、そこ邪魔」

お金の投入口の前から杏璃をどかし、俺のOasis専用プリペイドカード(入学祝にか~さんから貰った-残高一万と五百円)を投入する。

―次の瞬間。

「えいやーっ!!」

杏璃の気合いの一声と同時に、食券販売機のあるボタンが激しくプッシュされた――というかブッ叩かれた。(壊れたらどうすんだ)


ウィーン


取り出し口から出てきた食券は・・・

『Bランチ-デザート付き』・・・600円


――何か普通だった。

杏璃のことだから、やたら高いものを頼みそうだったのだが・・・


「・・・何よその目は?」

「あ、いや・・・」

どうやら不信感が目に出てたようだ。


「―どうせ、もっと高いものを選ぶとでも思ってたんでしょ!」

「ハイ」

「っ!?な、なんてムカつく奴なのっ!?むきーっ!!」

「ちょ、ちょっと杏璃ちゃん!?こんなとこで暴れたら他の人達に迷惑―」

「春姫っ!こうなったら、あんたが無駄に高いのを選んで、このバカをぎゃふんと言わせるのよっ!!」



ぽちっ ウィーン


ぽちっ ウィーン


『ありがとうございましたっ♪』⇒食券販売機から出るか~さんの声


「!?あーーっ!!何勝手に買ってるのよ、雄真っ!!」

「ん?神坂さんが遠慮してるみたいだから、無難なものを選んでみたんだが―」


『Aランチ-デザート付き』・・・600円

『Cランチ-デザート付き』・・・600円


「―神坂さん。どっちがいい?」

「えっ、えっと・・・・・・」




――とまあそんな感じで、無事に全員のメニューが決まったのである。(ちなみに神坂さんは、Cランチを選んだ)

そして今は、食券という紙切れを昼飯へと替えた後、空いている席がないかさまよっている最中だ。(もちろん杏璃先頭)


ジロジロ

ヒソヒソ

ザワザワ

ジロジロジー


「・・・・・・・・・むぅ」

何だこの視線たちは。
ものすごく居心地が悪いぞ。

それに、何だかオレばかりが注目というか、睨まれてる感じがするんだが――(主に男から)


「・・・ハッ!?まさかっ!!」

―そうだ。そうに違いない。

「・・・この一万円のプリペイドカードが狙いかっ!?」


「「そんなわけないでしょっ(ねーだろっ)!!!」」


いきなり、前方よりするどいツッコミが入った。

「っ!?準にハチか!いつの間に――というか、お前らもコレが目当てかぁっ!!」

オレは、すかさずプリペイドカードの入った財布をポケットの奥に押し込んだ。


「「ちがうわーっ!!」」

見事なダブルツッコミ。


「お前ら息ぴったりだな。さすがに長い付き合いだけのこ――」


「「雄真の(お前の)せいよっ(せいだっ)!!」



―それから、準に「とりあえずこっち来なさいよ」と引っ張られ、空いているテーブル(おそらく準がとっておいた)まで移動。

もちろん杏璃と神坂さんも一緒だが――二人とも何かおかしい。

何というか、ソワソワしてる感じ?



「あーあ。雄真があまりに遅いから、ごはん冷めちゃってるわ~」

「オレはもう食ったけどな」

「待ってる必要ないだろ。一緒に食おうとも言ってなかったと思うんだが」

すると準は、ぷくっと頬を膨らませ―

「あー、なによそれ~!せっかく待っててあげたのにっ!」

「勝手に待ってただけだろ」

「勝手にじゃないわよっ!雄真が『一緒に食べよう』ってメール送ってきたんじゃない!」

んー?

「・・・そんなメール送った覚えがないんだが」


「何言ってんのよ!証拠はコレよっ!」

準は携帯の画面をこっちに向けてくる。


どれどれ―

『From:♡雄真♡』

げしっ

「いった~いっ。何で叩かれるのよ~っ」

「・・・オレは、『雄真』という名だ」

「そうよ?そんなの当然じゃないの~」

「じゃあ、コレは何だ?オレはいつの間に『小日向♡雄真♡』になったんだぁ!」

「えっ?雄真ったら改名っ!?」

「ちがうわっ!!」

「♡二個じゃ、少ない?」

「増やしてどーする!?」

「じゃあ、『小日向準』で」

「もはやオレですらねぇ!!」


「「・・・・・・・・・」」


「ん?」

ふと、オレと準を見つめている視線に気付く。

―杏璃に神坂さん

二人はほんのり頬を染めながら、興味津々な様子で俺たちに視線を送っている。

―いやいや、こんなバカなやりとりをそんなに真剣に見る必要ないですよ?



「それよりホラっ、証拠メールの本文!」

視線をものともせず、準が向けてくる携帯の画面には―

『イッショニタベヨウ』

「何この電報形式っっ!?」

「ホラね?一緒に食べようって」

「いやいや、何か怖えーよ!オレは一体準と何を食べる気なんだ!?」

「や~ね~。お昼ごはんに決まってるじゃないの」

「なんでこの文面から昼飯が連想されるのか謎なんだが」

「え?それはホラ、昼休みが始まるちょっと前にきたし」

「・・・なるほど。それじゃ、受信時間はいつなんだ?」


「えーと、ちょっと待って」

ポチポチ

準が画面に表示したものは―

『受信時間:タベタイ』

「ぎゃぁああぁあっ!!受信時間に文字がはいってるぅっ!!」

「あらまあ、雄真ったらよっぽどお腹が減ってたのね~」

「いやいやいや!絶対おかしいだろ、そのメール!!」

「別におかしくないわよ?ただ、受信したときにバッテリーが飛び出ただけで―」

「どー考えてもおかしい!!普通のメールは受信したときにバッテリーが飛び出したりしねーよっ!!」

―あれだ。幽霊的な何かを受信したに違いない!!


「―あら?もうこんな時間だわ。早く食べないと。あっ、冷めちゃってるから温め直してもらってくるわね~」

トタタタタ

お盆を持って、か~さんの元まで駆けていく準。


おーい

「・・・あれだけ盛り上げておきながら、まさかの途中放棄!!」

えーい!
あのメール、気になって仕方ねぇ!

こうなったら―

「先に食っててやる!―いただきますっ!」



「ちょっ!?あんた、何やってんのよ!?」

いきなり杏璃が大声をあげる。


「―は?いや、飯を食べようとしてるんだが―」

「それが、何やってるって言ってるのよ!」


「???」(何で飯食うのを止められてるんだ?)


―ああ、なるほど。

見ると、杏璃と神坂さんはまだご飯に手をつけていなかった。

「悪い悪い、準とのやりとりのせいで気付かなかった。アイツが戻るの待ってたら冷めちまうし、先に食べて―」


「だめーっ!!」

今度は神坂さんまでもが飯を食わせまいとする。

すると、神坂さんに引き続き杏璃が顔を耳まで真っ赤にして、こう言ったのだ。


「か、かかっ、かっ・・・」
「かの、かのの、彼女っ!!そう!!彼女を待たずに先にご飯食べちゃう気!?」

「そうだよ!それは女として許せないよ!小日向くんっ!」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・えーと」

準が彼女?
なんでそんなことに――ハッ!?

そーいえば、まったく説明してなかったぁぁあああっ!!!



第十一話へ  ⇒第十三話へ


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

半年以上ぶりの更新・・・

正月も休み無、仕事忙しいっぷりには脱帽ですわ。。

これから日常がずーっと続いていく感じですー。
(まあ、イベントとかが盛りだくさんだから、ネタは尽きないですがね)

本来の本編(式守家関連)は、だーいぶ先になりますね。
だって、まだ一年で入学したばっかだし。(式守入学は来年)

ちまちま書いていくので、よろしくですー。

では~、また(^^)/



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二次創作(はぴねす!)◆凍結中◆

はぴねす!SS『魔力の行方』|第十一話

はぴねす!SS『魔力の行方』|第十一話






―瑞穂坂学園、女子寮『杏璃の部屋』




「・・・・・・よしっ!」

雄真と別れて寮の部屋に戻った杏璃は、普段着に着替えて春姫の部屋を訪ねる準備を終え、気合を入れていた。


「・・・絶対に問い詰めてやるんだからっ」


あれほど様子が変貌する悩みなのだ、そう簡単に話してくれるとは思っていない。
しかも春姫の場合、相談などせず自分の内に溜め込む事が多い。


だがっ!!


ライバルであり親友の非常事態に何もせずにいられる訳ないでしょ!!


「・・・柊杏璃、行きますっ!!」


そう言うと、杏璃は戦場(春姫の部屋)へと向かっていった。




―瑞穂坂学園、女子寮『春姫の部屋』の前



コンコン

「春姫~、居る~?」


ガサガサガサ

「う、うん。居るけど・・・何、かな?」


「昨日、調子悪そうだったでしょ。ちょっと様子を見にきたのよ」

「心配かけてごめんね、杏璃ちゃん・・・」

「何言ってんのよ、春姫。困ったときはお互い様でしょ?」

「・・・うん。ありがとう・・・」

「で、調子はどーなの?」

「う、うん。もう大丈夫だよ・・・」


(―ったく、全然大丈夫そうな声じゃないじゃないの!)


「――大丈夫なら良かった。じゃあ、ちょっとお邪魔していい?」


「・・・えっ――ちょ、ちょっと待ってもらっていいかな?」

「いいわよ」


――三分後


ガチャ


「ど、どうぞ・・・」

「お邪魔するわね――ってあんた何で制服なのよっ?」

「えっ、お、おかしいかな?」

「昨日調子悪かったのに、今日も学園に行く気っ!?」

「・・・あ、そうだね・・・」

「―それに、制服、皺になってるわよ?・・・春姫、そのまま寝たの?」

「・・・・・・えと、」


(・・・いつもはあんなにキッチリしてるのに)


「あのね、春姫」

「・・・うん?」

「あたし、まわりくどいのは嫌いだから、単刀直入に言うわよ?」

「・・・な、何かな?」


「――何があったの?」


「・・・・・・・えっ!?きゅ、急に何を言うの、杏璃ちゃん。昨日のことなら、ちょっと体調が――」

「・・・ごまかさないでよっ!」


ビクッ

「ど、どうしたの杏璃ちゃん。急に大声出したらびっくりするよ」


「・・・・・・春姫。あたしたち友達――ううん、あたしは春姫のこと親友と思ってる」

「・・・急にどうしたの、杏璃ちゃん。もちろん私も、杏璃ちゃんは親友だと思ってるよ?」


「じゃ、話して」


「――え、何をかな?」

「だから、ごまかすのはもうやめて。あたしが気がつかないとでも思ってた?」

「・・・・・・」

「ほら、聞いてあげるから、ちゃんと話しなさいよ」

「・・・・・・」

「まさか、親友に話せないとかないわよね?」

「・・・・・・」

(ヤバっ、ちょっといきなりすぎた?)


「・・・わ・・・わ・・・たし・・・」

「・・・えっ、うんうん。続けて」



「・・・わかんなく・・・なっちゃった・・・の・・・」

「いま・・・まで・・・もくひょう・・・ううっ・・・うう・・・」


「杏璃ちゃーーんっ!!」

ガバッ!!

「わたし、どうしたらっ!!今までやってきたことっ!!魔法っ!うわーん!!」



それから、あたしは取り乱す春姫を落ち着けながら全てを聞いた・・・・・・





(えっ、えっ、えぇぇぇぇ!!今まで春姫が頑張ってきた目標が雄真で、、あたしとの勝負を見てショックを受けて逃げてぇ!?)

(えと、でも雄真は『流身術』が使えて、魔法力はあたし以上で・・・ってこれは機密だったわね。えええええっ!?あたしにどうしろってのよ!?)



「・・・私、ずぅーっと”あの人”を目指して頑張ってきたの。それで、ようやく会えて・・・・・・でも・・・もう私どうしたらいいのか・・・ううっ・・・」

「・・・・・・」

(重いっ、重いわっ!こんな話、想像してなかったわよーっ!)

「・・・あ、杏璃ちゃん?」


(っ!?こうなったら――)


「春姫っ!!うじうじしてても始まらないわっ!!直接、本人に問いただすのよーっ!!」

「えっ。ええぇえぇーーっ!?」






―瑞穂坂学園、校門付近



「・・・雄真は、御薙先生のとこにいるはずよっ!」

「・・・うん」

(はぁ・・・勢いでここまで来ちゃったけど、春姫と雄真を会わせて大丈夫なの?―って言うか、雄真の詠唱魔法がしょぼいのは『流身術』ばっかりやってたからよね・・・、でもそれは言っちゃダメで・・・あーっ!ややこしいわっ!)


春姫はというと――

最初は嫌がってたものの、今は先導する杏璃の後ろをトボトボとついてきていた。






―瑞穂坂学園、”御薙教諭研究室”



「む~り~だぁ~~」

ばたっ


俺は、本日3回目のダウンを敢行。机に突っ伏した。


パンパン

「ほらほら、勝手に休憩しない。ただでさえ時間が足りないのに、この調子じゃ1週間後にクラスEなんて夢のまた夢よ?」

「・・・あのさ、母さん」

「何かしら、雄真くん」

「・・・このレベルでこの量の魔法式を使いこなせるようになるには、半年くらいかかると思うんだけど・・・」

「あら、いい読みしてるわね。正解よっ☆」

「正解よっ☆、じゃなーい!!どーすんだよ!?1週間でクラスEなんて到底無理、つーか無謀だって!!」

「はいはい、そう怒鳴らない。大丈夫よ、この1週間で半年分詰め込むから☆」

「大丈夫じゃねー!!つか、☆の意味がわからねーっ!!」



コンコン



「あら、お客さんかしら?」

てくてくドアの方に歩いていく母さんを目で追いつつ、こんな日曜に学校に来る珍しい奴を目に留めようと視線を向けると―



ガチャ


「あらあら、二人ともいらっしゃい」

「・・・・・・」


―昨日を同じ面子が立っていた。





「はい、どーぞ♪」


ご機嫌な母さんが、俺たち(俺、神坂さん、杏璃)が席についたテーブルの上にコーヒーが入ったカップを置いていく。


ちなみに、
「あら~、神坂さんに柊さん、いらっしゃい♪」「あっ、そうそう。昨日は紅茶だったから今日はコーヒーがいいわよねー。もちろん飲むわよねー?」「ささ、みんな座って座って♪ゆ、小日向くんはこっち手伝ってー」
というほぼ昨日と同じ流れである。(飲み物が違う点を除けば)


俺はとりあえず、カップに口をつけコーヒーを一口ふくむ。

「・・・にがっ」

やっぱりブラックはダメだ。
コーヒー本来の風味を楽しめるとは言え、いかんせん苦すぎる。ここは、素直に用意された砂糖とミルクを入れるとしよう。



「・・・あ、あのさ、雄真」


昨日はあれだけぎゃーぎゃーうるさかった杏璃が、部屋に入ってきてから一言もしゃべらず、ようやく口にした一言がこれだ。

しかも、何か二人とも妙な雰囲気をかもしだしていて、昨日とは明らかに違う。
神坂さんなんて、ずっと俯いたままだ。


「・・・な、何だよ?」

あまりに雰囲気がアレなので、思わず警戒してしまう。


「・・・えと、その・・・雄真はずっと昔、女の子を助けたことってない?」

「は?」

何だ唐突に。

「・・・だから、子供の頃とかに・・・いじめられてるのを助けてあげたとか・・・最後に魔法で元気付けてあげたとか・・・」

「・・・えらく具体的だな」

「いいでしょ、そんなことっ!・・・で、どーなの?」


・・・俺が魔法使いを目指すきっかけになった”あの出来事”と一緒の展開だけど――

「・・・確かに心当たりがあるけど、なんでそれを杏璃が知ってるんだ?」


「・・・じ、実はねっ!その女の子が、は、は、はる――――」


ガタッ


「やっぱりだめーーーっっ!!」


ダダダッガチャダダダダダダッ



「ちょ!?春姫っ!?」
「神坂さん!?」


――残像ができそうな勢いで、神坂さんは走り去っていった。


・・・はっきり言って、意味が分からん。




―で、
杏璃は、神坂さんが出て行ったドアを見て「はぁ」とため息をついたかと思うと、
キッと俺の方を睨んできやがった。


「・・・な、何だよ?」

何故、俺は睨まれてるんだ?



「・・・あんたが悪いんだからね。そうよっ!!みーんな、あんたが悪いのよっ!!」



「はい?」

俺、何かしたっけ?


杏璃はツカツカと俺の傍まで歩いてくると、


ガシッ


椅子に座っている俺の両肩を掴み。


「?」


ガクガクガクガクガクーッ


「―っ!?あがっ!?」


勢いよく前後に揺らし始め――って、やめれーっ!


「はい?じゃないわよっ!!あんたが原因なのよっ!?春姫がずーっとあのまんまだったらどーすんよっ!?ど・う・に・か、しなさいよーっ!!」


ガクッ!ガクガクガクガクーッ


「ちょっ!?や、やめっ!!やめろーっ!――ま、魔法式が―今日覚えた魔法式がぁぁあっ!!」



――五分後



「うう~っ。ぎもぢわるいぃ~」

頭が激しくシェイクされ、フラフラする~
つか、今日覚えた魔法式、半分くらい飛んだぞちくしょー



ちなみに、杏璃は母さんに止められ、ちょうど今コーヒーがまた注がれたとこである。



「――で、ヒトの頭を激しくシェイクしてくれた杏璃くん?理由を聞こうか」

「・・・ふん。あんたが悪いのよ」

「さっきからそればっかじゃねーか!きっちり理由を言えっ!!」

「なによ偉そうにっ!命令するんじゃないわよっ!」

「あのな―――「ちょっといいかしら?二人とも」」


「「っ・・・・・・」」


「はいはい、いい子ね。本当は、わたしが口をはさむことじゃないんだけど・・・いつまで経っても話が進みそうにないからね・・・」

「「・・・・・・」」

「・・・柊さん。あなた、神坂さんがあんな風になってる理由を知ってるわね?しかも、原因は小日向くんにあるんじゃないかしら?」

「うっ」

「・・・それで、何とかしようとして、とりあえず一緒に小日向くんを訪ねてきた。違う?」

「うう~っ」

(あの意味不明な行動の原因が俺?なんで??)

「ほら、小日向くんも意味分からないって顔してるし、とにかく話してくれないかしら?」


「・・・・・・わかりました」



それから、杏璃の口から全てが語られた。




「・・・え~と、神坂さんが”あの時”の女の子ってことはわかったけど・・・、それが何でショックを受けて俺から逃げるんだ??」

「っ!?あんたそれ本気で言ってんの!?」

「ん?何かおかしいのか?”覚えてる?”とか”すっごい久しぶり!”とかが普通の対応だと思うんだが・・・」

「・・・あんたねぇ。春姫はあんたに憧れて、目標にして、魔法の勉強を続けてきたのよ?―で、せっかく再会したと思ったら、あんたはあたしにボコボコにされてるわけ。そりゃ、ショックも受けるわよ」

「・・・ふむ、つまりは俺が神坂さんの理想からかけ離れていたから、ショックを受けていると。・・・でも、さっきは何で逃げたんだ?」


「・・・そうねぇ。神坂さん真面目だから、自分で勝手に理想を創って失望したことを気にして、当人に悪いと思ってるんじゃないかしら?・・・それだけじゃない部分もあると思うけどね」

「あたしも御薙先生の言う通りだと思う。―春姫ったら、変にお堅いところがあるし」


「・・・なるほど。ずずっ」

俺は、砂糖とミルクを入れたコーヒーを一口すする。


「何のんびりコーヒー飲んでんのよっ!あんたが原因なんだから、あんたしかどうすることもできないのよっ!?」

「わーってるよ。・・・でもなぁ、一体俺にどうしろと?」

「・・・そ、それは・・・」

「理想と違っててごめんなさいって謝ればいいのか?」

「うっ」

「・・・それとも、他に――」

「・・・うーっ。そんなことわかるわけないでしょっ!!自分で考えなさいよっ!」

「・・・お前なぁ。他人に丸投げかよ・・・」



――で、すったもんだのあげく。

「とりあえずっ!春姫と話してきなさいよねっ!!」
「小日向くん、神坂さんと話してらっしゃい」

という、俺の意思を完璧無視した結論がでてしまったのだ。

まあ、とにかく俺と神坂さんが話してみないとわからん、つーことに落ち着いたわけだな。


でもなぁ、話って一体何を話せばいいんだ?

うーん。


「雄真っ!難しい顔してないで、とっとと春姫に会いに行きなさいよっ!」

「ん、ああ・・・」

うーむ。


「柊さん、ちょっとそこから離れてくれないかしら?」

「え?―あ、はい」

「・・・エル・アムダルト・リ・エルス――」


む。
何か詠唱が聞こえるぞ――この声は、母さん?


「カルティエ・ラ・アムティエト――いってらっしゃい♪」

「えっ!?ちょ、母さ――」







―魔法科校舎、屋上



その少し前。



「・・・・・・はぁ・・・また、逃げてきちゃった・・・・・・」



研究室を飛び出した春姫は、昨日と同じく魔法科校舎の屋上にやってきていた。



「・・・わたし何やってんだろ・・・小日向くんに失礼なことばかりしちゃってるよね・・・」


一晩いろいろ考えたが、結局何も答えはでなかった。

挙句には、平静を装っているのを杏璃に見抜かれ、泣きつく始末。
杏璃に言われるまま、小日向くんに会いにきたはいいものの、この様だ。

胸にポッカリと大きな穴があいたみたいだよ・・・


「・・・・・・はぁ・・・これからどうしよう・・・・・・」

春姫のつぶやきは、春の風に乗って消えていった。





そのすぐ後、春姫の座るベンチの後ろに雄真が転移。

「―さんっ!?――っと、ここどこだ?空?・・・屋上か」

どうやら、母さんによって無理やり転移されたようだ。


ったく、考えがまとまってないのに・・・

ここに神坂さんが居るのか・・・

ぐるりと見回したところ、前方のベンチに人影がある。


どうやら俺が転移したことにも気付いていないようだ。

ダークなオーラを纏った神坂さん・・・・・・はっきり言って話しかけたくねー

「・・・帰りてぇ・・・」




――それから、微動だにしない神坂さんを見続けて五分が経過・・・


・・・ちょっと待てよ?
誰も居ない屋上で、一人の女の子を後ろから見つめてる男っていう状況・・・端から見たらヤバくね?

いやいや、俺にはそんな気まっったくないんですよ?
単にそういう状況になってしまっただけで――いやいや。


―この状況はマズイ。

もし、誰かに見られようものなら・・・

響き渡る悲鳴→パトカー到着→誤解だぁあ!!

という展開が目に見えている・・・


・・・これは、早々にこのミッションを終わらせる以外に道はあるまい・・・

「・・・い、行くぞ」


俺は一歩、また一歩と慎重に神坂さんに近づいていく。


この光景を端から見たら口を揃えてこう言うだろう・・・

『美少女に迫る変質者』と――



「―あっ、あの!?神坂さんっ!??」

いろんな部分で声が裏返ったりしてるが、この状況で声をかけただけで勘弁してほしい。


ビクッ

神坂さんは一瞬ビクッとしたあと、ゆっくりとこちらを振り返り―

――そして、そのまま・・・・・・固まった。


―そのまま十数秒経過。


「・・・・・・あの、神坂さん?」


ハッと我に返ったらしい神坂さんは――

「こ、ここっ、小日向くんっ!?」


明らかに動揺した様子で、オロオロしまっくている。

―まあ、悩みの種がいきなり現れたんだから当然か・・・


「・・・あのさ――ちょっと隣いい?」

「えっ!?あっ、は、はいっ!―ど、どど、どうぞっ」


言われて俺は、神坂さんの隣にちょっと距離をとって腰を下ろす。

ふぅー。
・・・つ、疲れた。

ちょっと休憩してから本題に入ろう・・・



――両者無言のまま、数分が経過したころ



そろそろ俺から話かけようかとしたのだが―


「あ、あのっ!小日向くんっ」


以外にも神坂さんから話かけてきた。


「き、昨日から失礼なことばかりして、ごめんなさいっ!」

―そして、いきなり謝られた。


「えっ、いや。別に気にしてないから・・・」

「急に逃げだしたことだけじゃないのっ!」


「・・・もしかして、俺の魔法が思ってたより相当しょぼかったこと?」


「え、ええっ!?何でそのこと――」

「――ここに来る前、杏璃から全部聞いたから」


「・・・そうだったんだ・・・全部聞いちゃったんだ」


「・・・わたし・・・すっごい自分勝手なことで小日向くんを傷つけてたの・・・」

「・・・・・・本当にごめんなさい・・・」

神坂さんは手を握りしめて、俯いてしまった。




うーん・・・このあと何を言えばいいんだ?

とりあえず励ますとか?
それともこっちも謝った方がいいのか?

でも、何を言っても無駄な気がする。


ん?
―そうか、何を”言っても”無駄なら――



「―エル・アムダルト・リ・エルス・ディ・ルテ・・・」

ゆっくりと魔力を浸透させるように、詠唱を開始。


手のひらから出たボール状の光がゆっくりと空へ上っていく。

「カル・ア・ラト・リアラ・カルティエ!!」


上空でボールがはじけ、光の粒子となって降り注ぐ。




「―こ、これって・・・」

いつの間にか神坂さんは顔を上げ、俺の魔法に見いっていた。


―そう、”あの時”に俺が使った魔法。

―泣いている”彼女”を元気付けようと使った魔法。


あれから10年経った今、”彼女”にはどう見えているだろうか。



「ふぅ――ちょっとは元気でた?神坂さん」


この時、春姫には目の前の”彼”が、幼い日の”彼”と重なって見えた。


「・・・お、覚えてるの・・・?」


「・・・まあね・・・あの出来事は俺にとっても大事な思い出だよ」


「・・・そうだったんだ・・・覚えていてくれてるんだ・・・」

そう言って神坂さんは少し微笑んだ。




「・・・あのさ、神坂さん」

「な、何かな?」


「―俺にさ、時間をくれないか?」

「・・・?時間って?」

「神坂さんに追いつく時間」

「えっ?――あ・・・」

「時間かけても、追いつけないかもしれないし・・・神坂さんが目標としていた俺になれるかわかんないけど・・・頑張ってみるから、さ」


―げげっ、俺はなんてクサい台詞を吐いてるんだぁ!!


「だ、だからその・・・謝る必要なんてないからっ!俺がしょぼいのは事実だしっ!つか、こっちこそしょぼくてごめんなさいって感じだしっ!」


「・・・ありがとう」


「へっ!?な、何がっ!?」


「ふふっ、これからよろしくね。小日向くん」

「っ!?―こ、こちらこそよろしくっ!神坂さん」



目の前の”彼女”は、あの時と同じような満面の笑顔。


ミッションコンプリート――で、いいのか?


うーむ・・・



第十話へ  ⇒第十二話へ(制作中)


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

数ヶ月ぶりの更新・・・

リアルが忙しくて、全然書く時間がねぇす;;

やっとこさ、ボーナスでソニーの”mylo”ってやつを買って、通勤途中に書けるようになったのだ。。

で、
この話でやっと現状のキャラ全員の立ち位置ってのが決まりましたぁ。

今までは序章です、プロローグです。(長すぎ)

次からは、日常生活メインで進めていく予定です~!

まあ、やっと題名の意味がわかってくるんでないかな?

では~、また(^^)/



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はぴねす!SS『魔力の行方』|第十話

はぴねす!SS『魔力の行方』|第十話



□■━ 4月9日 ━■□



―小日向家、庭




「ええーっ!!この娘が師範代っ!?」

朝っぱらから、やたら元気な柊の叫び声が響く。



「まあ、驚くのはわかる。見た目がコレだからな。あとちなみに、詩織は俺らより年上だぞ?」

「っ!?なんですってーっ!どう見ても中学生にしか見えないわっ!」

「それもわかる。だが、事実だ」



「ふぅ・・・。初対面の者はいつもそういう反応じゃの。もういい加減飽きてきたわい・・・」
はぁ~っと詩織はため息をつきながら、やれやれといった感じで手をブラブラ。



「まあとにかくじゃ。妾が”葉月流”師範代、『葉月 詩織』じゃ」



「あっ、えっと、瑞穂坂学園魔法科1年A組、『柊 杏璃』ですっ」


「むっ、瑞穂坂学園魔法科じゃと!?」

「あ、はい。雄真とは同じクラスで――」

「むぅ!?『雄真』じゃと!?名前を呼び捨てじゃとぉっ!!!」

詩織がいきなり叫びだした。


「おいおい、詩織。何でいきなり叫ぶんだ?名前のことなら、俺は呼び捨てでも特に気にしてないぞ」

「あら雄真。あんた、なかなか心が広いじゃないの。気に入ったわ。あたしのことも『杏璃』って呼び捨てでいいわよ?」

「何その上から目線っ!?」

「うるさいわね。あたしがいいって言ってるんだから、あんたは言うとおりにすればいいのよっ、ほらっ!!」

「あ、杏璃――って恥ずかしいわっ!!」


「お、おっ、おいっ!!あ、相棒っ!!」

「ん?なんだゼク。そんな切羽詰った声だし・・・て・・・っ!?」


そこに鬼が居た。


「ゆぅ~うぅ~まぁ~あぁああああっっ!!!」

そしてその鬼の小さな口から、地獄の底の唸り声のような叫びが響き渡った。


溢れる光。
放出される魔力。

「わ、わ、妾の前でっ!!!何をいちゃいちゃしておるかぁあああっ!!!」


詩織の手足が、黄金色に輝き出す。
放出された魔力が、全て身体強化のみに消費され、
あたかも黄金色の鎧を纏っているかのよう。


――『本気モード』(俺が名づけた、文句あるか?)


過去に何度か目にしたことがある、詩織の最終形態。(※変身はしてません)


ヤバイ。
マジで、ヤバイ。

このままでは、俺の身体と小日向家がバラバラになっちまう。
いや、マジで。



「ちょっ!?何事っ?何が起こってんのよーっ!!」

詩織の魔力開放による暴風の中、杏璃はツインテールをぐしゃぐしゃにして地面に屈みこんでいる。



「し、詩織っ!!!おおお、落ち着けーっ!!お前はすごい勘違いをしてるぞ!?」

俺は暴風に吹き飛ばされないように、手ごろの岩?に掴まりながら叫ぶ。



「わ、妾だってっ!!妾だってなっ!!雄真とクラスメイトになって、いちゃいちゃとかしたかったんじゃあっ!!」


ゴォォォォォッ!!


一層激しくなる暴風。

もう、詩織が何を言ってるのかさえ聞こえん。


ゴォォォォォ・・・

「――ハァッ!!」



詩織の気合の声が聞こえると同時に、暴風は収まった。

凝縮された魔力が詩織の周りを取り巻き、ゆらゆらと空気を震わせている。



「――雄真よ。覚悟はよいな?」


「・・・はい?」

何の覚悟だ?


「妾の婿候補でありながら、他の娘といちゃいちゃしてた罪じゃっ!!」

「ちょっと待て、詩織っ!さっきのやりとりのどこに”いちゃいちゃ要素”があった!?」

「問答無用じゃあっ!!!」

ドッッゴォォン!!


詩織が消えたかと思った瞬間に岩から飛びのくと――
一瞬後には岩が粉々に。

「ちっ、避けおったか」


「うぉい!詩織っ!!俺を殺す気か!?」

「大丈夫じゃ。急所は外しておる」

「岩が粉々になる攻撃に、急所もクソもねぇだろ!?」


「・・・・・・。妾を信用するのじゃ」


「何その間っ!?信用できるかぁっ!!ゼクっ!!」

「あいよっ!」

「全力でいくぞっ!!」

「ハハッ!詩織とのガチバトルは久々じゃねーかっ!気張れよ、相棒っ!!」

俺はゼクの封印を解き、魔力を開放。
魔力を身体強化に注ぎ、手足が輝き始める。


「む。雄真、抵抗する気じゃな?」

「当たり前だ。高校入学早々に入院させられてたまるか!」

「そうか。そんなにそこの女子(おなご)が大事なのじゃな!?何たる不埒じゃ!不潔じゃ!!」

「なんでそうなるっ!?」

「妾の婿候補として、そのようなことは断じて認められぬ!!潔く裁きを受けるのじゃー!!」

「受けるかぁっ!!」


これを合図に、俺と詩織のよくわからないガチバトルが始まった。






「何なのよ、この二人・・・」

杏璃は目の前の光景が信じられず、唖然としていた。


雄真と詩織の言い争いを聞いていた杏璃は、何やら不穏な雰囲気を感じ、
現在は結界の外にいる。


「・・・これが、『流身術』――」

断続的に聞こえる打撃音。
粉々になる岩。
地面に穿たれる穴。

この惨状を作り出している二人の姿は、ほとんど肉眼で追うことはできない。


「それに・・・雄真のあの魔法力――」

感じ取れる雄真の魔法力は、あたしの10倍くらいは――ある。

同い年くらいの魔法使いで、あたし以上の魔法力を持っていた奴は今まで会ったことがない。
春姫でさえ、あたしより魔法力は低いのだ。

魔法力の高さが魔法使いの能力に直接関係していないとは言え、
やはり高い方が魔力を瞬時に取り出せるし、上級魔法も容易に使えるので、高いに越したことはない。

只者ではないとは薄々思っていたが、これで確定だ。

「・・・雄真、あんたもあたしのライバルよ!」






「ぐっ!?」

詩織の上段蹴りを腕でブロック。
その反動を利用して、詩織はくるりと回転。
逆から繰り出される裏拳を身を屈めて回避しつつ、俺は大きくバックステップ。

二人に距離ができ、一旦攻防が終了。


「どうした、雄真?先程から防戦一方じゃの?」

「くっ、魔法力は俺が倍以上あるってのに!」

スピード、威力等々が詩織と比べかなり劣っている。

「ふん。いつも言っておるであろうが。きっちり魔力を身体に浸透させぬと最大限の効果を発揮できぬと!」

「・・・じゃが、ここまで妾と戦り合うことが出来るようになっておるとはの。正直嬉しいぞ、雄真。それに免じて、次の一撃で”いちゃいちゃの罰”を終わらせてやるとしよう。何、そのレベルなら耐え切れるはずじゃ」

「前半部分は素直に褒められてる感じだが、後半部分が納得いかんぞ」

「お主は、全力で防御を考えておるだけでよいのじゃ。下手に小細工をすると大怪我するぞ?」

「話聞けよ!」

言い終わると、詩織は両手を身体の前に出し、一つのボールを両手で握るように構えをとった。
それと同時に、魔力が詩織の手に集中していく。


「くそっ!何でこんなことになってんだよ!」

俺は仕方なく言われたとおり、両腕をクロスして身体の前に組み、
さらに詠唱魔法での障壁も展開した。


「うむ。ではいくぞ!流身術奥義、『葉閃』っ!!!」

詩織の手に凝縮された魔力が一気に開放され――って、

「耐えれるかぁあああっ!!!」



ッドッゴォォォンンンーーッッ!!!


俺の視界が白い閃光でいっぱいになった後、
意識が闇の中に落ちていった・・・








「きゃははははっ!それ本当なの、詩織ー?」

「うむ。もちろん本当じゃ。あれは妾も笑いが止まらんかったわ。そういえばこんな話も――」


ゆっくりと浮上していく意識の中、
二人の少女の喋り声が聴こえる。


「・・・・・・うー・・・ん・・・・・・」

俺は、ぼんやりした頭を左右に振りながら、
上半身を起こす。

見ると、俺はソファに寝かされていたようだ。


ダダダダダッ

「に、兄さんっ!気がついたんですね!気分はどうですかっ?」

足音が聞こえたかと思うと、目の前にすももの顔があり、
心配そうに顔を覗き込んでくる。

「・・・ああ、何とか大丈夫みたいだ」

頭はちょっとボーっとしているが、どこも痛い箇所はない。

「良かったぁー」

ホッとしたように笑みを浮かべるすもも。

「悪いな、すもも。心配かけて」

俺はすももの頭をくしゃくしゃっと撫でてやった。

「えへへへー」

目を細めて、くすぐったそうに笑うすもも。
可愛いやつめ。



「さてと――」

俺はソファから立ち上がり、詩織と杏璃がいる縁側へと近づいていく。

「きゃははははっ!――んっ?あ、雄真起きたのね!」
「おお、雄真。やっと起きよったか」


「・・・・・・」


「どうしたのよ、雄真。何で無言なのよ?」
「どうしたのじゃ、雄真。何とか言わんか」


「・・・二人、いつの間にそんなに仲良くなってんだよ・・・」


「あんたがブッ倒れてる間に、あたしが誤解を解いてあげたのよ!感謝しなさいよねっ!!」

「うむ。ただのクラスメイトだそうじゃな。そうとわかれば、新しい妾の弟子じゃ。打ち解けるのは当然じゃろう」


「じゃあ、さっきのバトルの意味は?」

「よ、よいではないか!結果としては、雄真の上達を身をもって体験出来たのじゃし!」
「最後のアレは?」

「は、葉閃のことかの?お、奥義を見れたのじゃからお得じゃったろ!」

「お得じゃねぇ!死ぬかと思ったぞっ!!」

「だだ、大丈夫じゃ!雄真のレベルなら、耐えれるじゃろうなぁとは思っておったわ!」
「適当過ぎっ!!ノリで奥義なんか撃つな!!」


「はいはい二人ともっ!過ぎたことはもういいじゃない!結構時間経っちゃったけど、これからどうするのよ?」

「う、うむ。良いことを言うではないか、杏璃よ。妾も、過ぎたことを言い争ってる時間は無駄じゃと思うな」

そう言いながら、詩織はちらちらと小動物のように俺の様子を窺っている。


「――ったく、わーったよ。まあ、何だかんだでいつものことだしな。で、どうすんだ?鍛錬の続きするのか?」

それを聞いた詩織は、ホッとした様子で、

「いや、随分時間が経ってしまったからのう。今日はここまでじゃ。杏璃の本格的な鍛錬は明日からじゃな」

「そか。じゃあ俺は、飯食って学校行くかな。遅れたら、かあ、じゃなくて御薙先生が鬼と化しちまう」

「あたしは用事があるから寮に帰る」

「おお、じゃあ途中まで一緒に行くか?飯も食ってけよ。どーせ、か~さんはお前の分も用意してると思うし」

「え、そーなの?じ、じゃあ残すのももったいないし、ご馳走になろうかな」

「ああ、遠慮はいらねーぞ。詩織は――って、あいつもうシャワー行ったのか」

「あ、あたしもシャワー借りていい?さっきの暴風で髪がくしゃくしゃになって―」

「じゃあ、先に使っていいぞ。場所とかはすももに聞いてくれ。俺はその後でいい」

「ありがと、わかったわ」






―小日向家、リビング



「「「「「いただきま~す」」」」」

都合5人分の朝飯が並べられたテーブルを囲み、いつもよりプラス1人の朝食が始まった。


「杏璃ちゃん、お味の方はどうかしらー?」

「あっ、はい!とってもおいしいですっ!」

「うふふ、ありがとう。おかわりもあるから、どんどん食べてね♪」

「ありがとうございます!」


か~さんは、ニヤニヤと微笑みながら、こちらを向き、

「んふふふ~。雄真くんも隅に置けないわね~。こーんな可愛い娘をお家に連れてくるなんて~♪」

「ん?連れてきたのは俺だが、こうなった原因は詩織だぞ」

「またまた~。照れなくってもいいじゃない~。ク・ラ・ス・メ・イ・トなんでしょ?」
このか~さんの言葉に、ぴくっとする人物が約2人。


「た、確かにクラスメイトだが。言っとくけど、か~さんの考えてるようなことは一切ないぞ?」

俺の言葉に、ホッと息を吐く人物も約2人。
一体何なんだ。


「でもでも~。雄真くんがお家に連れてきた女の子なんて、詩織ちゃんか準ちゃんくらいじゃない?それが、会って数日のクラスメイトを連れてくるなんて~、何かあると思って当然でしょ?」

「何もないっての!詩織の弟子になったんだから連れてきただけ!あと、準は男だっ!」
「あれ?そーだっけ。ぶ~、ゆーまくんつまんな~い」

ぷぅと頬を膨らませて不満顔のか~さん。


「んなことより、すもも。ソースとってくれ」

「はい、兄さん」

「あっ、あたしは醤油ほしい」

「ん。ああ、ほれ」

「ありがと」



「っ!?ゆ、雄真っ!?何で目玉焼きにソースかけてるのよっ!?」

「はあ?何言ってんだ、杏璃。目玉焼きにはソースだろ」

「おかしいわよっ!目玉焼きには醤油よっ!!」

「妾は、何もかけぬぞー」

「うるせーな。何かけようが個人の自由だろーが!」

「ダメよっ!ソースなんてかけたら食べられないわっ!!」

「何もかけぬ方が、卵本来の味をじゃな――」

「お前が食うわけじゃねーだろが!!俺はソース派なんだよ!」

「わかったわよっ!そこまで言うんなら、醤油かソースか、魔法で勝負よっ!!!」

「何もかけない派はないのかの~?」

「アホかお前はっ!!昨日勝負したばっかじゃねーか!意味わかんねーよ!」

「アホですってぇー!!雄真のクセにっ!!」

「・・・妾は、無視か・・・しくしく」


「あらあら♪二人ともすっごく仲良いわねぇ~」


とか何とか、いつもよりは随分騒がしい朝食を済ませて。






―瑞穂坂学園、女子寮玄関前


あの騒がしい朝食の後、
俺は、杏璃と一緒に学校への通り道である瑞穂坂学園の女子寮まで来ていた。

「ほほう。これが女子寮か」

俺は玄関前に立つと、しげしげと寮を観察する。
うむ、結構良い造りだな。

「なに、ジロジロ見てんのよ。いやらしいわねー」

「何その非難の眼差し!?俺何か悪いことした?なぁ、したのか?」

「・・・・・・目が怪しいわ・・・」

「っ!?俺の目が、目が否定されたよっ!?」

「あはははっ!冗談よ、冗談♪」


「――ったく。で、お前は用事があるんだろ?」

「うん。とっても大事な用事」

「そっか。じゃあ、俺は学校行くわ」

「ちょっと待って。明日も雄真の家で鍛錬なの?」

「ああ、そーなるな。今日と同じくらいの時間に来てくれ」

「わかったわ。じゃあ、また明日ね」

「おう、また明日」

軽く挨拶しながら、俺は杏璃と別れた。





第九話へ  ⇒第十一話へ(制作中)


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

いや~、更新できてよかったぁぁあーっ!!⇒織田裕二風に

う、おほんっ。
まあ、とにかく順調に更新できて何よりですわw

カムカム的には早く、設定やらキャラとかの紹介が終わって、
アホアホムードの学園生活をやりたいんですがね・・・。

かっなり重要な、春姫との関係がまだ決着してないんだなこれが。

次の話では、杏璃と春姫のやりとりがメインの予定だよぉ。

ではでは、またノシ


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二次創作(はぴねす!)◆凍結中◆

はぴねす!SS『魔力の行方』|第九話

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―魔法科校舎、屋上




「・・・・・・はぁ・・・逃げてきちゃった・・・・・・」




魔法演習場を飛び出した春姫は、魔法科校舎の屋上にやってきていた。




春姫は屋上に設置させているベンチの一つに座り、春の心地よい風を受けながら物思いにふけっている。



脳裏に浮かぶのは先ほどの光景。
杏璃に一方的にやられる”彼”こと小日向雄真だ。

憧れで目標にしていた”彼”のイメージとあまりにもかけ離れた姿に、気がついたときには演習場を飛び出していた。


・・・手加減・・・してたわけじゃないよね・・・・・・とてもそんな風に見えなかったもん・・・


あの調子では確実に杏璃の勝ちだろう。


・・・私・・・今まで何やってたんだろ・・・
・・・ずっと先にいってる”彼”を目指して頑張ってきたのに・・・


理性の部分では、自分勝手なことを言っているとわかっているのだが――
”気持ち”の部分ではやはり納得がいかなかった。


・・・会えたのはとても嬉しい・・・けど・・・

・・・これからわたしは誰を目標に頑張ればいいの?・・・


もちろん、春姫の周りには鈴莉をはじめ目標とすべき魔法使いはたくさんいる。
だが、春姫が10年余り目指してきたのは言うまでもなく”彼”なのだ。

”彼”の存在なくしては今の春姫はないと言っても過言ではない。
どこまでも純真で、一途。
乙女心とは、複雑でとても厄介なものなのだ。






―魔法練習場、『ステージ』




「ちょっっとぉ!!何で春姫が居なくなってるのよーっ!!」

「あー、うるせーな。俺が知るわけねーだろがっ!」

相変わらずギャーギャー喚き散らす柊。
ったく、こいつのテンションの高さはハチに匹敵するぞ。


「春姫ちゃんなら、演習が始まってすぐ出てったわよ?」

実況席に居たはずの母さんがすぐ傍でニコニコと微笑んでいた。
忍者かこの人は。

「何だか、顔面蒼白ですごくショックなことがあったように見えたわよ~」


「「え?」」

顔面蒼白?ショック?
今の勝負にそんな風に思う場面なんてあっただろうか?

俺は訳が分からず、首を捻っていると――


「・・・なるほど、わかったわ。原因は雄真、あんたよーっ!!」

「はぁ?」

何でそーなる。

「とぼけたって無駄よっ!春姫のことをいやらしい視線でジロジロ見てたんでしょっ!!この変態ーっ!」

「アホかお前は。勝負の最中にそんなことしてる余裕なんかねーっての」

「あ、アホですってぇー!!じゃあ原因は何だっていうのよっ、あんたは!!」

うーむ。
顔面蒼白・・・ショック・・・原因・・・原因かぁ。

結論。

「わからん」(キッパリ)


「ふんだ!人のことアホとか言っときながら何よそれはっ!」

「むっ。今日知り合ったばかりなのに、んなこと分かるわけ――」

パンパンッ

「はいはい、そこまでよ二人とも。仲良くしゃべってるところ悪いんだけど、ちょっと二人に言いたいことがあるのよ。いいかしら?」


「ちょっ、御薙先生っ!?何であたしがこんなのと「柊さん。とても大事なことなの」」
母さんの真面目な物言いにさすがの柊も「うっ」とひるむ。

――と、
柊を黙らせた母さんは俺の方に向き、

「小日向くん。演習前に言ったわよね?”アレ”は使っちゃダメだって」

ん?”アレ”って流身術のこと、だよな?

「えっ、でも、詠唱魔法の訓練の一環だからって意味じゃ?絶対とは言ってなかったし」
ここで、母さんはふぅ~と溜息をつきながら――
「――詩織ったら、全く説明してないのね・・・」

説明?なんだ?

「あのね、小日向くん。”アレ”は魔法業界において、最重要って程ではないけど機密扱いの術なのよ」

「機密扱い?」

「そう。術の危険性を考慮して、ランクA”重要”に指定されているわ。使い手には術を秘匿する義務もあって、義務を怠ると処罰もあり得るわ。――簡単に言うと、人前で安々と使っちゃダメってこと」


「・・・えと、ってことは・・・」


「・・・そうね・・・もし、このことがバレたら――おそらく”退学”ね」


「・・・・・・た、た」


「退学ぅーーっ!?」

しゃれになんねぇ~っ!!
まだ入学式しか行ってねーのにっ!!
俺の高校生活、これで終わりかよっ!?



「ちょっと雄真っ!さっきから、機密やら退学やら二人で何話してるのよーっ!!」

「ん?ああ、柊か・・・・・・ん?――柊、柊・・・・・・そうだっ!!」

「きゃっ!いきなり大声出さないでよっ!」


俺としたことが、失念していたぜ。フフフフフッ

要は流身術を使ったことが”バレ”なきゃいい訳だ。
運の良いことに、目撃者はたった一人。

こいつをどうにかすれば・・・クケケケケケケッ


ポカッ

「いてっ!」

「こらっ、小日向くん?考えてることは大体わかるけど・・・顔が犯罪者になってるわよ?」

見れば、柊が自分の身体を抱きしめて怪訝そうにこちらを見ている。

「あ、あんたっ!あたしをどうする気っ!?」


――っと、危うく人の道を外すとこだった。

「じょ、冗談だって。あはははは」




それから、母さんが柊に事情を説明した訳なんだが――

「・・・あんたバカじゃないの?」

開口一番のセリフがこれだ。

「そんな重要な術?を演習程度にほいほい使っちゃうなんて・・・アホね」

「むっ。大体なぁ、お前が手加減もなしに魔法をブッ放してくるから――」

「何よ。あたしの所為にする気!?」

「少しは手加減しろってんだ!あいにく、俺は美少女にブルボッコにされて喜ぶ性癖は持ち合わせてねーんだよっ!」

「っ!?び、美少女って!?・・・あ、あたしのこと?・・・えっと・・・あ、ありがとう」

らしくなく、真っ赤になってうろたえる柊。

「ほめてねぇよっ!!」

「えっ!?あれ?び、美少女って褒め言葉・・・じゃないの!?」

「褒め言葉だけどっ!ほめてねぇよっ!!」


パンパンッ

「はーい、二人が仲良いのはわかったから。話を次に進めるわよー」


「ちょっ、だから先生っ!?何であたしが――」

「とにかくね。このままじゃ、小日向くんが退学処分になってもおかしくない状況なのよ」

母さんは柊の抗議をあっさりスルー。

「で、セオリーだと目撃者の記憶を消すのがベストなんだけど」

言いつつ、視線は柊へ。


柊がびくっとして、
「あ、あたしの記憶、消すんですか・・・?」

捨てられた子犬のように、不安な様子で母さんの方を見上げる柊。

ううっ・・・なんか可愛いぞ・・・


「心配しなくてもいいわよ、柊さん。私は記憶消去のやり方には反対なの。だってそうでしょう?成長期の脳に余計な負担を掛けるのは良くないもの」

「えっ?それじゃ、どうするんですか?」



「・・・これはかなり強引な方法だし、柊さんにも迷惑がかかると思うけど・・・」


「「・・・」」

俺と柊は母さんの次の言葉を無言で待つ。



「・・・柊さん。雄真くんと結婚してくれないかしら?」



「「・・・は?」」



「あっ、そうね。二人とも年齢が足りないんだっけ。その間は婚約でもいいわよ?」
「でも、子供が出来たらマズいわよねぇ。その辺は二人で調整してちょうだい♪」



結婚?子供?
あれ?空耳かな。何か母さんが柊に「雄真くんと結婚してくれないかしら」とか言ってたような気がする、いやいやそんなことはねーだろ俺たちまだ高一っていうか今日知り合ったばっかだぜ第一なんで結婚なんだ意味がわかんねー、やっぱり空耳だ昨日からの疲れが溜まってるんだなよし屈伸でもするかいちにーさんー


俺が脳内の結論から、屈伸運動を始めた直後。


「っ!?ちょっとぉぉっ、先生ぃっ!!!け、け、結婚って何ですかーっ!!」

けたたましい柊の叫び声がステージ上に響いた。



「え?柊さんその歳で知らないの?困った子ねぇ。―いい?結婚っていうのは、男が18歳で女が16歳――」

「そんなことは知ってますっ!!!じゃなくて、記憶を消す代替案が何で結婚なのか聞いてるんですーっ!!」


「あら、それは簡単よ。家族なら術を秘匿する義務も発生しないからよ?」


「ぐっ・・・で、でも、だからって――」

ここで、柊はキッと俺を睨み。(ちなみに顔は真っ赤)

「ぜーーったいっ、イ・ヤ・ですーっ!!!」


ここまでストレートに否定される俺って・・・
あっ、ちょっと涙が出そう・・・


「あらあら、雄真くん。すっごく嫌われてるわねぇー」

「・・・ああ、ハンパなく嫌われてるな・・・しくしく」


「こんなのと結婚するくらいなら、記憶を消された方がましですっ!!」

「・・・ついにはモノ扱いか・・・しくしく」


「困ったわねぇ。やっぱり記憶消去は良くないし。――柊さん、ほんとにイヤ?」

「ほんとにイヤですっ!!!」

「・・・何回繰り返すんだよぅ・・・しくしく」



「――うーん、あまり気は進まないけど、もう一つだけ方法があるわ」

「それでお願いしますっ!!」

早っ!?即答かいっ!!

「え、でもいいの?内容は――」

「大丈夫ですっ!!結婚とか記憶消去とか結婚とかよりはましに決まってますからっ!!」


「――わかったわ、柊さん。後悔しないわね?」

「はいっ!!」

「おいおい、内容も聞かずに大丈夫か?」

「うるさいわね、雄真。あたしがいいって言ってるんだから、あんたは黙ってなさいよっ!!」

「でもだな、内容くらい聞いてからの方が――」

「ぜぇーーったい、あんたなんかと結婚なんてお断りなんだからっ!!」

「わかった、わかったって。だからちょっと落ち着け」



そうこうしてる間に、母さんは何やら携帯電話を取り出してどこかに電話していた。

「・・・・・・そこをなんとか・・・・・・・・でしょ?・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・大丈夫・・・・・・おごるから・・・・・・・・・ええ・・・・・・」

断片的に母さんの話し声が聞こえるが、一体どこに電話してるんだ?


「じゃあ、よろしくね♪」

ピッ

話がついたのか、母さんは携帯電話をポケットにしまいながらこちらへとやってくる。


「お待たせ~。良かったわね、柊さん。交渉成立よ♪」

「ありがとうございますっ!!」

「お前、何の交渉だったのか知ってて言ってんのか?」

「う、うるさいうるさいうるさい。今から聞くとこよっ」


「でも、あの娘も相変わらずね。ケーキをご馳走するって言ったらすぐに首を縦に振るんだもの」

むっ。ケーキだって?・・・まさか


「さて、柊さん。あなたはたった今から『流身術』の使い手、”葉月流”の門下生よ。電話で師範代に話を通しておいたから、明日の朝の鍛錬から一緒に頑張ってね」

「やぁっっぱりかーーーっ!!!」

今度は俺の叫びがステージに響く。



「えっ?も、門下生ってことは・・・さっき雄真が使ってたやつを使えるようになるってことですかっ!?」

「もちろんよ。あなたの努力次第だけどね」

「ちょっと、かあ、御薙先生っ!!」

「あら、な~に?小日向くん」

俺は母さんと柊を引き離し、小声で抗議する。


(何考えてんだよっ!?勝手に門下生にしてっ!!)

(しょうがないじゃないの。結婚はイヤだって言うんだもの)

(だからって、他にも方法が――)

(何言ってるの。元はと言えば、あなたが流身術なんか使ったせいでこうなったのよ?)
(・・・ぐっ、それはそうだけどっ!でも、詩織の奴が何も言ってなかったせいであって)

(だから、詩織に責任取らせたんじゃない。それに、雄真くんには何のデメリットもないはずよ?)

(――ん、あれ?そうだな。よく考えてみると別に実害はないのか?)

でも、俺の頭の中では何故か警鐘が鳴りっぱなしなんだが。
詩織と柊を会わせると、何かとんでもないことが起こりそうな気が・・・・・・考えすぎか?


「・・・あたしが、さっきのやつを・・・ふふふふふ・・・」

柊は何かさっきから一人でブツブツ言ってるし。


「はい。じゃあ、演習も終了、問題も解決ということで研究室に戻りましょう」

いろいろあったが、これにて杏璃vs雄真の演習が終了したのであった。
(ちなみに結果は、”杏璃の勝利”ということになった)




ステージを片付け、制服に着替えて研究室に戻り、
柊に朝の鍛錬のことや流身術について軽く教えた後、柊は寮に帰っていった。
(この間柊は、演習中に居なくなった神坂さんに何度か電話していたみたいだが、電源が切られているようで繋がらないと言っていた)


ちなみに、柊が帰った後も個人授業はもちろん続き、
俺は日が暮れるまで魔法式を頭に詰め込まされ続けたのは言うまでもない。。






―瑞穂坂学園、女子寮『杏璃の部屋』




バフッ

「・・・・・・ふぅ~・・・」


杏璃は寮の自分の部屋のベッドに、仰向けに寝転がっていた。


鈴莉&雄真と別れた後、杏璃は校内をぐるっと一周し、春姫を探していたのだ。
結局、春姫は見つからず、携帯も相変わらず繋がらないので、諦めて帰ってきたのである。

「・・・春姫ったら、どうしたんだろ・・・」

御薙先生は、演習中にショックを受けて出ていったと言っていたけど。
あの演習中に、ショックを受ける場面などあっただろうか?

『わからん』と言っていたアイツの顔が浮かぶ。

「・・・確かにわかんないわー」苦笑。


アイツ、アイツの名前・・・

「・・・小日向雄真・・・ね・・・」

あれだけ、気安く男子と話をしたのは何年ぶりだろう。
魔法業界は女子の割合が高いのは言うまでもなく、それ以外でも話しかけてくる男子はどこかよそよそしいのだ。


たしかに雄真とは話易いけど、初対面であの態度はないでしょ。
挙句の果てには、け、結婚させられそうになるしっ。

ま、まあ、流身術はおもしろそうだから、付き合ってあげるけどねっ。



「そ、そんなことより春姫だわっ!んもーっ、どこ行ったのよっ!」



(カチャカチャ)←隣の部屋のドアの鍵を開ける音


「っ!?やっと帰ってきたわねっ、春姫っ!!」

勢いよく飛び起きた杏璃は、ドアへ突進。

ガチャッ!

「春姫っ!!今までどこ行って――」

杏璃は目を見張った。


「あっ、杏璃ちゃん」

えっ!?誰よこれ!?

「ごめんね、演習中に急に抜け出したりして。急に気分が悪くなって――今まで保健室で休んでたの」

あからさまな嘘。
保健室は一番初めに探した場所だ。

そんなことより、これが春姫!?
一体、何があったってのよっ!?



普通の人からすれば、いつもの春姫だと感じただろう。

しかし、
付き合いの長い杏璃は違う。

春姫が”いつも通り”を装っていることに気づいていたのだ。

目標に向かって迷いなく前を見据えていた目が、
今は見る影もなく、曇ってしまっている。


「・・・っ!?春姫っ、一体何が「ごめん、」」

「ごめん、杏璃ちゃん。まだちょっと気分が悪くて。今日はもう休もうと思うの。じゃあ、また明日ね。おやすみ」

「ちょっと、春――」

パタン

「・・・えっ」

ドアが閉められる間際の春姫の目には、涙が浮かんでいるように見えた。


「・・・・・・何があったっていうのよ・・・春姫・・・」


あんな春姫の顔、初めて見たかも。


・・・はっ!?
あたしまでしんみりしてどうするのよっ!?

あんな状態の春姫をほっとけるわけないわっ!
ライバルであり親友。
悩み事の一つや二つ、この杏璃様にまかせるのよっ、春姫っ!!


よしっ!

「明日、きっちりと問い詰めてやるんだからっ!!」


第八話へ  ⇒第十話へ


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

いやいや、拍手とかコメントありがたいです ^o^/

くださった方々、どうもありがとうございますm(_ _)m

内容は、、自分で書いてて何を書いてるんだろうかと・・・

こんな自分勝手な作品を読んでくださる方々には、感謝感謝です。

時系列的に、進むのが遅いですがちまちま進んでいく予定なんで、
これからもよろしくです。


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二次創作(はぴねす!)◆凍結中◆

はぴねす!SS『魔力の行方』|第八話

はぴねす!SS『魔力の行方』|第八話




―魔法練習場、『ステージ』




トクッ、トクッ、トクッ、トクッ、トクッ、


自分の鼓動がやけに早く聴こえる。



ああ――ついに、ついにこの時がきたのだ。


魔法使いの道へと進むきっかけになったとある出来事――


それから10年余り――


ずっと目標にして頑張ってきた――


ずっとずっと会いたかった――



”彼”がいたからこそ、ここまで頑張ってこれたと春姫は思う。

”彼”の隣に並ぶにふさわしい女性になるために、ずっと努力していた。

今でもまだ足りないと思っている。

だって、”彼”はもっと先に行ってるだろうから。




その”彼”がすぐそこにいる。

さっき御薙先生にも念を押して確認したのだ。
「あなたくらいの年齢の弟子は、あなたと小日向くんだけよ♪」

以前にも聞いたことがあったが、そのときは―
「あなたくらいの年齢の弟子?いないわよ?」
って言ってたのに。その時はとてもがっがりしたけど。



と、とにかくっ

”彼”=”小日向雄真”だということは確実なのだ。
(同じ魔法の詠唱体系を持っているのは、家族か弟子だけだからだ)

その彼が、今まさに杏璃と魔法演習をしようとしている。

どういう理由で急に魔法演習をするようになったのか知らないけど。
(春姫は雄真と杏璃のやりとり中、ずっと過去に思いを馳せていたのだ)

あこがれで目標である彼が自分の前で魔法を使う。

しかも、彼の魔法を見るのは10年振り。


ドキドキしない方がおかしい。


杏璃ちゃんには悪いけど、絶対勝てないよ

彼は私よりもずーっと先に行ってるはずだから

(※注:春姫の中では過去の思い出が相当美化された上、あこがれの彼が自分の上をいっているというは決定事項なのだ)



春姫は両手を胸の前で握り締め、目をキラキラさせながらステージ上の雄真をじーっと見つめている。








さて、そんな期待をよそに――雄真はというと



「無理だ・・・・・・」



弱音を吐いていた。




先ほどの杏璃とのやりとりの後、それを聞いていた母さんが魔法演習という名目で杏璃との勝負を正式に決定。
すでにステージは使用許可をとっていたらしく(俺の練習のため)、そのまま魔法服へ着替えてステージに上がったんだが――


「流身術なしじゃ、一方的に魔法ブチ込まれて終わりなんてことにも・・・」

そうなのだ、ステージに上がる前に母さんに
「雄真くん。流身術は使っちゃダメよ?詠唱魔法のみで勝負しなさいね♪」

という感じでクギをさされた。魔法の訓練の一環ってことか?


「せめて、『瞬身』と『葉渡り』だけでも使えば何とか時間が稼げるんだが」

そう、この勝負の目的は勝つことではない。
同じ学年の実技2位の奴がどこまでできるのかを知ることだ。

つか、クラスが2つも離れた奴に勝てる訳ねーだろ。


「おい相棒。向こうさんはやる気満々みたいだぜ?」

「ん?」


向かい合った柊の方を見てみると――

魔法服?らしきものを身に纏って、マジックワンドをくるくる回している柊がゴングを待ちわびるボクサーのようにこちらをじっと見つめていた。

「好戦的な奴だな。つか、あれが魔法服か?」

柊が着ているのは、紺を基調としたワンピース。
だが、やけに露出度が高い。
肩の部分が丸見えである。
似合っているといえば、似合っているのだが・・・何というか、目のやり場に困る。


「・・・ま、まあとにかく。やれるだけやってみるか」

「相棒、顔が赤いぜ?」




そうこうしてるうちに、母さんがステージ横の何か実況席?みたいなとこに座り、マイクでしゃべり出した。(ちなみに神坂さんも隣にいる)

「はい、は~い。柊さん、小日向くん、準備はいいかしら?」

「あたしはオッケーですっ!」
「・・・オッケー」

「じゃあ、始めるわね。演習の方式は『フリーバトル』。魔力の消費に制限はないわ。体力は両方とも1000ポイント。体力が先にゼロになった方、制限時間15分を超えた場合は残りポイントが低い方が負け。いいわね?」

ん?体力ポイント?

「はいっ!」
「ちょ、ちょっとまった!」

「ん?何かしら、小日向くん?」

「えーと、ダメージの判定とか計算は誰がするんですか?」

「それは「あんたそんなことも知らないのっ!?」」

柊が母さんの説明に勢いよく割り込んでくる、つか叫ぶな。

「・・・そういえば、魔法からしばらく離れてたんだっけ?じゃあ仕方ないわ、特別にこの杏璃様が教えてあげるわっ!!」

いや、頼んでねーし。

「魔法演習にはいろいろ種類があるんだから!例えば今からやるような試合形式の『フリーバトル』とか、交互に魔法を射ち合う『シュート』とか。で、どの演習の場合も使われた魔力、受けたダメージが”何とか”っていうシステムで管理されてるのよーっ」

”何とか”って何だよ、オイ。
つか、テンション高すぎ。

「でもって、自動的にアナウンスされる訳。『小日向雄真は1000ポイントのダメージを受けた』とか何とか」

即死かい、俺。

「なるほど、ロープレみたいなもんか。わかりやすいな」

「そうそう、ドラ○エとかファイナル○ァンタジーとかと同じよ」


「オッケー、わかった」



「じゃあ始めるわよー。二人とも準備はいいわね?」

母さんの確認に俺と柊がコクンと頷く。

その直後――

カァァーンッッ

ステージにゴングが鳴り響いた。






俺はすばやくゼクの封印を少し解いて、いつでも詠唱魔法を使える状態に。


『小日向雄真は2ポイントのマジックポイントを消費した♪』

と、スピーカーからやたらとハイテンションなアニメ声の音声が流れた。

「・・・ああ、そうか。この状態は常に魔力を放出している状態だからか」
「燃費悪いなぁ。つか、なんでアニメ声?」

毎回この声を聞くのか?
ははは、ウザイぞ。




柊はというと――

「まずは小手調べよっ!」

マジックワンドを構え、詠唱開始。

「エスタリアス・アウク・エルートラス・レオラッ!!」


飛来する複数の魔法球。

式を見た感じだと、クラスF。クラスFなら!

「エル・アムスティア・ラティル・アムレスト!!」

防壁を展開。


ドドドドドッン


ふぅ、何とか受けきれたか。

『柊杏璃は10ポイントのマジックポイントを消費した♪』
『小日向雄真は4ポイントのマジックポイントを消費した♪』

ははは、ウザイぞ。




そんな感じで、ちょっと魔法の射ち合いっぽい展開がしばらく続き――

「うふふふふ。少しはやるようね、雄真っ!!」

「そりゃ、どーもっ!!」

「じゃあ、これはどうかしら?」

柊はそう言いつつ、さっきまでとは異なった詠唱を開始。

「オン・エルメサス・ルク・アルサス・エスタリアス・アウク・エルートラス・レオラッ!!」

げっ、クラスEか!?

「エル・アムスティア・ラル・セイレス・ディ・ラティル・アムレスト!!」

俺はさっき魔法書で覚えたばかりのクラスEを――


バリンッ


「くっ!そんなに甘くはないか!」

俺は防壁を突き破った柊の魔法の矢の直撃に備えて、両腕を交差して身体をかばう。

――が、
身体に当たると思われた瞬間に魔法の矢がフッと消えてしまった。

『小日向雄真は40ポイントのダメージを受けた♪』


「むっ?どうなってるんだ?」

俺が不思議そうに首をかしげていると、

「あんたバカじゃないの?演習で魔法が直撃するわけないじゃないの。ステージはどんな魔法も直撃前にキャンセルするようにできてるのよっ!」

なるほど、そういうことか。
でも、ダメージだけはちゃんと計算されると。



「ほらほら、どんどんいくわよ~っ!ボーっとしてたら、すぐに終わっちゃうんだからっ!」

続けざまに柊は、詠唱、詠唱、詠唱。(全部クラスE)

飛んでくる、魔法球、魔法の矢、氷の塊。

「やっっぱりこうなったかぁぁあぁっ!!!」

叫びつつ、ドタバタと逃げ回る惨めな俺。


「あはははっ!!どうしたの、雄真っ!!逃げ回ってばかりいないでちょっとは反撃したらどうなの?あはははっ!!」

「くっ、柊のやつ手加減なしかよっ!」

「あはっ!なんか楽しいわっ!!いつもは春姫にやられっぱなしだから、いいストレス発散になるわっ!」

「くっそ~、何がストレス発散だっ!流身術が使えればっ!」


恐るべし杏璃、もうやりたい放題である。







――さて、その様子を見ている方々はというと。




「・・・・・・う・・・そ・・・・・・・・・」



顔面蒼白な春姫がいた。




目の前の光景が信じられなかった。

憧れで目標の”彼”が、杏璃程度(すごく失礼)に手も足も出ないでいるのだ。

今も必死で杏璃の魔法を避けようとドタバタとステージ上を動き回っている。


そ、そんな・・・・・・嘘だよ・・・・・・
もしかしてあの”彼”じゃない・・・・・・ううん・・・間違いないよ・・・


また、雄真が杏璃の魔法の直撃を受ける。


・・・い・・・や・・・・・・
いやいやいや、もう見たくないっ!


ガタッ

春姫は実況席から立ち上がると、一目散に出口へ向かって走りだす。

ステージ上で演習中の二人は気づかない。


――実況席にいる鈴莉だけが気づき、
「あらあら♪」とのん気なセリフをつぶやいた。






『小日向雄真は40ポイントのダメージを受けた♪』
『小日向雄真は12ポイントのダメージを受けた♪』
『小日向雄真は57ポイントのダメージを受けた♪』

「ああもう、うるせぇ!」

今すぐスピーカーのコードを引き抜いてやろうかと思ったが、今はそれどころではない。
柊の攻撃は単調であるものの、防壁を張ることができないため避けるしかないので、なすすべもなくダメージが蓄積していく。

「むぅ、ぐっ!」

この演習という名目の勝負の目的は、柊の実力を知るためである。
なので、実力を知るという意味では身をもって体験は出来たのだが――

「・・・このままで終われるかっ!!」


小日向雄真は、いうまでもなく男の子である。
さすがに魔法でとはいえ、小柄な美少女にフルボッコにされて悔しくないはずがない。
まあ、中には美少女にフルボッコされて喜ぶ特殊な性癖の持ち主もいるが・・・

とにかくである。
この勝負、雄真は杏璃に一矢を報いねば終われないのだ。



「やるぞ、ゼク!」

「ケケケケッ、柄になく熱くなってるじゃねーか相棒っ!」


俺はすばやくゼクの封印を少し解き、身体強化用として身体に纏う。

『小日向雄真は50ポイントのマジックポイントを消費した♪』

アニメ声を軽く無視。
自然体で身体を起こし、両手を前に。


次々と飛んでくる、魔法球、魔法の矢・・・etc


それらが直撃かと思われる瞬間――


雄真の身体が流れる葉っぱのようにスッとそれらを避けていく。

葉月流流身術『葉渡り』。

独特の歩方と足の強化により、遠距離攻撃を避けながら相手に近づいていくという流身術である。



「なっ!?何よそれはっ!?」


杏璃が驚くのも無理はない。
何しろ、魔法を射てば射つほど雄真が距離を詰めてくるのだ。

「くっ!?」

さすがの杏璃も一旦魔法を射つのをやめる。


「・・・何だかよくわからないけど、ここまでやるとは思わなかったわっ!雄真っ!!」


両者の距離、約15メートル。
雄真は自然体で、杏璃はマジックワンドを構えて対峙する。


「まさか、春姫以外にこの魔法を使うとは思わなかったわ・・・覚悟するのねっ!」

「覚悟するのは、お前だ!柊っ!!」


「オン・エルメサス・ルク・ゼオートラス・アルクサス――」
「エル・アムダルト・リ・エルス――」

両者詠唱開始。

「――ディオーラ・ギガントス・イオラッ!!」
「――ディ・ルテ・エル――」

杏璃が魔法を射つ――とほぼ同時に雄真の姿が掻き消える。


「え?」
「――アダファルス!!」

杏璃の前に瞬間的に移動した雄真は、最後の一音を開放。
そう。今朝伝授されたばかりの『葉討』である。



「・・・」
「・・・」



激突の後、一転して静まり返るステージ。

杏璃と雄真は結構な近い距離で、互いに魔法を唱えた体勢のまま固まっている。
特に杏璃は、何が起こったかわからないという感じで目をパチクリとさせている。


と、

『柊杏璃は2500ポイントのダメージを受けた♪』
『小日向雄真は3200ポイントのダメージを受けた♪』



カァァーンッッ


リングにゴングが鳴り響き、杏璃vs雄真の勝負が終了した。





「・・・えっ!?引き分け!?なんで!?何が起こったのよーっ!!」

再起動を果たした柊は、ステージ上で絶叫。うるせー。


「くそぉ、やっぱりまだ実戦じゃ使えないなコレは。使ったほうのがダメージ大きい技なんて、自爆だな」

ステージ上でなければ、今朝のように吹っ飛ばされていただろう。
これはもっと練習せねばと思っていると――

ポカッ

「痛っ!?誰だ!?」

「誰だ?じゃないわよ!あたし以外に誰がいるのよ!それより、あんた何したのよっ!何で引き分けなのよっ!せ・つ・め・いっ、しなさいよーっ!!」

柊の奴が、至近距離でキーキー喚き立てる。

近っ!?ただでさえ露出が激しい服なのに、こんなに近いと目のやり場がっ!


目のやり場に困り、ふと母さんがいる実況席の方を見てみると――

「・・・あれ?神坂さんは?」

「ん、何?春姫がどうしたの―ってあれ?」



この時になってようやく、春姫が居なくなっていることに気づいた二人であった。



第七話へ  ⇒第九話へ


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

半年も間が空いたかと思いきや、連続投稿。

ごめんちゃい><;

読んでくれてる方々には本当に申し訳ない;;

もう、作品自体もオリジナルからは程遠い展開になってしまいました・・・

これからも好き勝手に書いていきますが、どうぞよろしくお願いしますorz



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二次創作(はぴねす!)◆凍結中◆

はぴねす!SS『魔力の行方』|第七話

□■━ 4月8日 ━■□



―小日向家、庭


「ふあぁ~~」

朝の日差しはポカポカと暖かく、起き抜けの身体を再度眠りへと誘う。


「こらっ、雄真。寝ぼけている場合ではないぞ。お主を”真の婿候補”にするために、今日からさらにビシバシいく予定じゃ。ぼへーっとしておると怪我をするぞ?」

「ふぁい、ししょ~」

ドゴッ

「イテッ!何も殴るこたねーだろっ!」

「いつまでも寝ぼけておるからじゃ!そんなことでは、『流身術』を極めること叶わぬぞっ!」

昨日の夜のやりとりの後、詩織のテンションが妙に高い。
どうやら、本気で俺を”真の婿候補”とやらにするつもりらしいのだ。

俺なんかを”婿候補”にしたがる詩織の気持ちもよくわからんが、否定すると昨日みたいなことになりかねん。
しばらくは、様子を見るしかねーか。


「うーっし!準備はいいぞー、師匠」

俺は軽く身体をストレッチさせながら、詩織に向き直る。

「うむ。では早速と言いたいところじゃが、今日は体術の鍛錬はナシじゃ」

「・・・?何でだ?」

「ふふふふふ・・・、それは――」

「それは?」

「新たな『流身術』を伝授するからじゃあっ!!」

詩織はビシッと俺を指さし、あまりない胸を張る。

「新たな『流身術』?」

「その通りじゃ!お主を”真の婿候補”とするためには、『流身術』をどんどん覚えていってもらわねばならん!」

「まあ、”真の婿候補”はともかく、どんな『流身術』を教えてくれるんだ?」

「うむ。そうじゃな、実際に見たほうが早かろう」


そう言って詩織は、いつからかそこにあった岩(なんで庭にこんなものが・・・)に向き合って右手を前に出す。

「―ラ・ヴァース・ド・ルーア・フェ・ルエ・ヴァシュテ!!」

詩織の右手から魔法球が飛び出し、岩に着弾。

ドガッ

岩にちんまりとした傷ができた。


――ん?これが新しい流身術?
ただの詠唱魔法じゃねーか?


「さて、今のはただのクラスFの魔法球じゃが、これに『流身術』を合わせると―」


今度は流身術を使うときのように、身体に魔力を纏う詩織。

「―ラ・ヴァース・ド・ルーア・フェ・ルエ――」

さっきと同じように詠唱――途中で詩織が掻き消える。

「・・・え?」

それとほぼ同時。

「―ヴァシュテ!!」 ドッッッゴッーンッ!!

爆音が響く。


バッと岩の方を見てみると―
そこには、右手を前に出した状態の詩織と粉々になった岩の残骸。


「・・・ふぅ、こんなもんじゃな」

詩織は岩の残骸を見て、うむうむと満足そうだが、

「・・・なあ、師匠。俺には何が起こったのか全然わからんのだが」

俺が当然の疑問を口にすると、

「当然じゃ。一目で理解出来るほど簡単な術ではないぞ?」

「じゃ、説明してくれ」

「うむ」と詩織が頷き、説明が始まった。



「まず、今の術の名を『葉討(はづち)』と呼ぶ。基本的には、身体強化魔法と詠唱魔法を合わせた技じゃ」

「身体強化魔法を使いながら、詠唱魔法を使うってことだな」

「うむ、その通りじゃ。しかし、単に合わせて使うだけではないぞ?身体強化魔法の応用で、詠唱魔法の威力を収束し、攻撃魔法の威力を増大させることが可能なのじゃ!」

「威力を増大?」

「見ておったじゃろうが!最初に使った詠唱魔法と『葉討』で使った魔法のクラスも種類も同じものじゃったろう?」

そういえば、

「・・・そうだったな」

同じ魔法であの威力の差か。

「さて、ここからがミソじゃ。通常、攻撃魔法は至近距離で使用するようなものではないのはわかるじゃろ?」

「ああ、自分も危ないからな」

「うむ。しかし、攻撃魔法の威力が一番高いのが放たれた直後なのじゃ。それは、目標に向かって飛んでる間にも魔力が消費され、威力が弱まっていくからじゃな」

「ふむふむ」

「『葉討』は、攻撃魔法を至近距離で放つことを可能とするだけではなく、攻撃の方向をコントロールすることで、同じ魔法の威力を5倍も高める術なのじゃっ!」

「「おお~」」

「流身術では、『瞬身』で相手の攻撃をかわしつつ距離を詰め、『葉討』を撃ち込むのが標準的なスタイルじゃな」

「なるほど」



「それでは、実践あるのみっ!じゃ。あの岩に向かって『葉討』を撃ち込むのじゃ!」

そう言って、詩織はまたいつのまにか出現していた岩(だから何で庭に・・・)を指し示す。


「実践あるのみっ!はいいが、なにもアドバイスなしかよっ!?」

「さっきの妾を思い出してやってみるのじゃ。大丈夫、お主なら出来る!」

「・・・ほんとかよ」




「いいか?ゼク」

「いつでもいいぜぇ~」

まずは身体強化魔法。

そして、俺は詩織のしてた通り、右手を前に出し詠唱を開始。

「エル・アムダルト・リ・エルス・エル――」


「―アダファルス! げっ!!」 ちゅど~ん!!


「・・・がふっ」


「・・・だめじゃったか・・・」



さて、雄真のセリフだけでは何が起きたかわからないので、説明しよう。

詠唱を開始した雄真は、最後の一音を残して瞬身を発動。
岩の前まで一瞬に移動した彼は、最後の一音を同時に開放。
しかし、
至近距離での攻撃魔法に耐えられず、岩とは反対方向に吹っ飛ばされる。
結界まで吹っ飛ばされ、背中から衝突。
くずれおちる。

以上、説明おわり。



「お~い、雄真よ。生きておるかー?」

「・・・」

「おい、相棒!なんでぇこの様はっ!」

「・・・」


それから5分後。


「・・・あぅ~、ひどい目にあった」

ようやくダメージから回復した俺は、縁側に座って茶を啜っている。
となりでは、詩織が同じく茶を啜りながら、

「ずず~っ、はふー。先程の失敗は、身体強化不足が原因じゃ。クラスFといえどもあの威力、きっちり衝撃を受け止めなければああなるのは体験した通りじゃ。ずずっ」

「気づいてたんなら、途中で止めろよな。―ったく」

「ずー。身をもって体験、ずず~、しなければ、はふ、わからんことも、ずずず、あるからの、ずずずずずっ」

「・・・おかげでひどい目にあったぞ。つか、茶飲みながらしゃべんな」

「ずずー。とにかく、これからは毎朝、『葉討』の訓練を追加じゃからな?ずっずー」

「へいへい」


そんなこんなで、朝の鍛錬は終了したのであった。







―午前11時 ”御薙教諭研究室”



「ぐむむむむ・・・」

俺は、魔法書と睨めっこしていた。



朝の鍛錬を終え、いつも通りシャワー浴びて、詩織と共に朝飯食べたあと。

すこしは寝れるかなぁ~なんて思いつつも、いやいや寝たら起きれねぇぞみたいな欲求と戦ってみたりしていると、学校に行く時間になってしまい、仕方なくもそもそと制服に着替えて学校に行き、御薙教諭研究室に入るなり、やたらハイテンションな母さんから熱烈な歓迎を受けつつもそれをうまく受け流している自分を客観的に見て、すごくね?とか思ったりして。

そして、昨日と同じ個人授業が始まって1時間。
何やら母さんはやることがあるらしく奥でごそごそとしていて、自習を言い渡された俺は現在進行形で魔法書と睨めっこしている。



「・・・頭痛てぇ」

普段からそんなに使わない脳を昨日から酷使しすぎて、脳が悲鳴を上げているよーだ。

「だいたい何だよこの魔法書の量は」

机に乗っかっている魔法書の数は、どうみても10冊は超えている。

「絶対無理っ!こんなの全部覚えれるわけねぇ!」

ガバッと机に突っ伏す俺。


「情けねぇな、相棒!まだ昨日の今日だぜぇ?」

ゼクがあきれ声?で話しかけてくる。

「ゼクか・・・、俺はもうだめだ・・・あとをたのむ・・・」

「・・・まったく、相棒は――」


コンコンコン

「「ん?」」

コンコンコン


ノックの音、だよな?
お客さん?

俺は突っ伏していた身体を上げ、

「母~さ~んっ!誰か来たよーっ!」

奥の方に向かって呼びかける。


ガサゴソガサゴソ

「ごめ~ん、今手が離せないのー。ちょっと出てくれるー?」

「へーい」

つか、母さんはさっきから何してんだ?



俺は椅子から立ち上がってドアの方へ―

コンコンコン

「はいはい、今開けるって」

ガチャ


「「「・・・・・・・・・」」」


ドアを開けると、二人の美少女が立っていた。
陳腐な言い方だが、それしか形容する言葉がないのだ。
二人とも瑞穂坂学園の制服を着ており、黄色いリボンをしているので同じ学年か。

一人は鳶色の髪の少女で、何か言いかけていたまま固まっている。

もう一人は、黄色い髪をツインテールにした小柄な少女で、こちらも固まっている。



そのまま数秒が過ぎ、
無言の重圧に耐えかねた俺が口を開こうと――

「あーーーーっっ!!!」

黄色い髪の少女(めんどいから黄色と呼ぶことにする)が、俺を指さしていきなり大声で叫びだす。

「な、なんだ!?」

俺、何かやらかしたか!?
もしくは生き別れの兄に似ているとか!?

「あんた、”マジックワンドが自己紹介男”じゃないの!」

なんだその名前は。

「む、失礼な黄色だな。俺は小日向雄真だ。確かに、ゼクが自己紹介したのは認めるが――」

「誰が、黄色よっっ!!」

「気に入らんか?じゃあ、イエローでどうだ?」

「英語になっただけでしょっ!!」

おおう、こいつはおもしれぇ。
ハチとは違ったからかい甲斐のある奴だ。くせになるかもしれん。


「ちょっと、杏璃ちゃん!」

黄色もといイエローがガルルル噛み付いている隣では、鳶色さん(心情的に”さん”付け)が必死に黄色を止めようとしている。

うむ、こっちの方が話がわかる雰囲気だな。


「え~と、鳶色さん?ここには何の用?」


「・・・鳶?ああ、私は神坂春姫っていいます。そちらの娘は――」

「いいわよ、春姫。名前くらい自分で名乗るわ」

「あたしは、柊杏璃。春姫のライバルよっ!!」

ライバル?
ああ、そうか。

「大変だな、二人とも。同じ奴を好きになったんだな?いわゆる三角関係――」

「んなわけないでしょっ!!」



そんなこんなで、二人が御薙教諭研究室に来た理由を聞いて中に入れるまで約20分の時間を要したのであった。







「はい、どーぞ♪」


ご機嫌な母さんが、俺たち(俺、神坂さん、柊)が席についたテーブルの上に紅茶が入ったカップを置いていく。


なんでこんなことになっているかというと。


つまりは、御薙先生に魔法の質問をしにきた二人を中に入れ、母さんを呼びにいくと。
「あら~、神坂さんに柊さん、いらっしゃい♪」「あっ、そうそう。新しい紅茶が手に入ったのー。飲む?飲むわよねー?」「ささ、みんな座って座って♪ゆ、小日向くんもほらほらー」
というわけである。


俺はとりあえず、カップに口をつけ紅茶を一口ふくむ。

「・・・ふぅ」

結構うまいな。
ん?でもちょっとあっさりし過ぎかなー。ミルクでも入れてみるか、いや待てよここはレモンをスライスしたものを――


「気になってたんだけど」

俺がレモンのスライスがないか探しに行こうとしたところ、柊が唐突に口を開いた。
つか、なんでそんなツンツンしてるかね。

「雄真・・・だっけ?あんた何でここにいるのよ?」

いきなり名前を呼び捨てかよ!

「あー、それはだな。何というか・・・」

母さんと親子ということは秘密なんだったよな。
う~む、何と言うべきか。

すると、違う方向から返答があった。

「小日向くんはね、私の弟子の一人なの」

「「「!?」」」

「えーーっ!?でも、先生、そんなこと一言も・・・」

神坂さんがかなり驚く。

「あら、言ってなかったかしら?でも、私の弟子ってことでそんなに驚くなんてなんでかしら?ムフフ♪」

「えっ・・・えっと・・・その・・・」

何故か神坂さんは顔を赤くして、俯いてしまった。

「小日向くんは、すいぶん前、神坂さんが弟子になるさらに前に弟子になったんだけど、いろいろな事情でしばらく魔法から離れてたの」

なるほど、そういう設定か。
ならば、俺のハリウッド俳優並の演技で合わせねばなるまいっ!

「御薙先生の言う通りダヨ。それで、瑞穂坂学園に入学を機に弟子に復活したってわけナノ」

あれっ?語尾がちょっとおかしいか?
ま、いいだろ。。

「・・・なるほどね、雄真がここにいる理由はわかったわ」

ふぅ、何とか誤魔化せたな。
さすが俺、ハリウッド俳優も真っ青だぜ。


俺は、大分冷えてしまった紅茶の残りを飲もうとコップを傾け――

ダンッ!

いきなり柊が机を叩いて立ち上がった。

そして――俺をまた指さし、

「勝負よっ!!雄真っ!!」

ぶっ!っと紅茶を吹き出しそうになった。危ねぇ。


「いきなり何だ!?意味わかんねーよ!」

「あんた、勝負の意味もわかんないの?」

「そういう意味じゃねぇ!何でいきなり勝負なんだよ!!」

「光栄に思いなさいよ、入学試験実技2位の柊杏璃が相手してあげるんだから」

「何ぃっ!?お前が2位!?嘘だろ?」

「嘘じゃないわよ?ちなみに、1位は春姫」

「げっ」

何ぃっ!?このおっとりした感じの神坂さんが1位で、
あのガルルル爆弾ツインテールが2位だとぅ!!

ふと母さんに視線をやると、こくりと頷いた。
どうやら本当のようだ。

ん~、待てよ。これはチャンスじゃねーか?同じ学年の魔法実技のトップ2がここに居るんだぞ。柊は2位らしいが、実力を知っておくのもいいんじゃないか?今の俺がどのくらいのレベルなのか気になるし。よしっ。


「・・・オッケーだ。この勝負、受けたっ!!」


こうして、杏璃vs雄真の勝負が決定したのであった。



第六話へ  ⇒第八話へ


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

すんませんm(__)m

とりあえず謝っておきます~。

リアルが忙しくて全然書く暇がなかったんです、本当です。
えっ?ラノベの感想は書いてるじゃん?それは…すみません><

もう本当に時間が経って、よくわからんことになってますが、
とりあえずヒロインがやっとこさ出てきました。遅い。

つか、杏璃は書きやすいなぁ。

次回は、よくわからん杏璃vs雄真のお話。



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はぴねす!SS『魔力の行方』|第六話

―学園からの帰路途中


「しっかし、今日は疲れたなぁ~」

俺は肩をぐるぐる回しながら、のんびり歩く。

「お疲れだな、相棒」

「当たり前だろ。魔法科に強制入学、母さんとの再会、詠唱魔法の個人授業――入学式当日からスケジュールが詰まりすぎだ」

「まあそう愚痴るなよ、相棒。念願の詠唱魔法が使えた上、クラスFが取れたんだぜ?万々歳じゃねーか」

「まあな。これでやっと魔法使いらしくなってきた感じだな。
―それより、ゼク。結局お前、昼飯のとき何もしゃべらなかっただろ。確か、準とハチと話したがってたよな?」

高峰さんのマジックワンド落下事件前に話してた記憶があるんだが。

「おう!もちろん奴らとはしゃべりたいぜ?
でもよ、相棒。今日のあの状況でオレがしゃべり出せば、さらにややこしい事態になってたと思うぜぇ」

「なるほどな。今日は自粛したわけか」

「おうよ。次からは遠慮なしにしゃべらせてもらうぜ!」

「ほどほどにな」





―小日向家、玄関


ガチャ

「ただいま~」

靴を脱ぎつつ、ふと下を見るとちょこんと小さい靴が置かれている。
もちろん、家にはこんなちっこい靴を履く奴は住んでいない。
そう、この靴の持ち主は――

「詩織、もう来てるみたいだな」

夕方の鍛錬は、ゼクの封印制御。
晩飯を食べて、風呂に入ってからやるのが習慣と化している。

しかし、いつからか詩織はやたらと早く来るようになったのだ。
鍛錬自体は8時くらいからなのに、5時くらいから小日向家に居座り、
晩飯、風呂も当然のように小日向家で済ます。
か~さんもすもももニコニコしながら、何も疑問に感じてない様子で対応し、
あまつさえ詩織が来るのを楽しみにしている節すらある。

まあ、俺としても別に嫌というわけではないのだが。


―と、そこへ

リビングからトテテテと小さな足音がこちらに向かってきた。

そいつは、ひょこっと顔を出したかと思うと、
ちっこい指を上に向けて俺を指差し――

「あ~っ、ヘタレが帰ってきたですっ!」

と、のたまいやがった。

「随分遅かったですね、このヘタレ野郎。詩織様を待たせるとは何様のつもりですか、この唐変木。さあ、さっさと着替えて、

とっととリビングに来やがれですっ!!」

ビシッと決めポーズ。

「・・・・・・」

俺は無言で、すっとそいつの前に移動し、首根っこをつまんで持ち上げる。

「ななな、な、何するですかっ!!離しやがれです、この変態っ!!詩織様~っ、助けてくださいです~っ!!ヘタレ野郎に襲

われる~っ!」

ジタバタジタバタ暴れるちっこいの。

「・・・ったく、いつもいつも。もっとおとなしくしてられねーのかよ、お前は」

「オレ様を少しは見習ったらどうだ、ベルっ娘よぉ?」

「う、うるさいですっ、このあんぽんたんズ!!ベルに命令できるのは、詩織様だけですっ!ヘタレたちの言うことなんか、ぺ

っぺっぺーですっ!!」


紹介が遅れたが、このちっこいやつの名前は『ベル』。
詩織のマジックワンドだ。
詩織をデフォルメしたような西洋人形で、何と自立行動が可能という高スペックを誇っている。
性格にかなり難がある奴で、何故だかいつも俺に突っかかってくるのだ。
ちなみに、朝が弱いらしく朝の小日向家で見かけることはほとんどない。(どんなマジックワンドだ!)


「今は疲れてるから、お前の相手はしてられねーぞ。ほれ、どこへでも行け」

俺はベルをぽぃっと投げた。

ベルは、器用にくるくる回りながら着地。

「・・・っ!?何ですか!このゴミのような扱い方はっ!!ひ、ひどいですっ!断固抗議ですっ!恨んでやるですっ!うわーん、詩

織様~っ!!ヘタレがいじめるです~っ!」

リビングに向かってトテテテと走っていくベル。

俺はそれを尻目に、二階へ上がっていく。はぁ・・・。



―小日向家、リビング


俺が着替えやらを済ませ、リビングに入ると食事の準備の真っ最中。

「あら、雄真くん。おかえりなさい~。ゼクちゃんも」

「ただいま、か~さん」「おう、帰ったぜ」

その声を聞いてか、台所からすももが顔を出した。

「兄さん。おかえりなさい~」

「ああ、ただいま。すもも」

で、もう一人――

「やっと帰って来おったか。待ちくたびれたぞ、雄真。随分と遅かったの」

「ただいま、詩織。遅くなって悪かったなぁ、”いろいろ”あったんだ」

「む。なんじゃその含みのある言い方は?」

詩織は少し頬を膨らまし、不満顔を見せる。

「まあ、それより今は飯だ飯。詩織も腹減ってるだろ?」

俺は、むぅと納得いかない表情の詩織を置いて、夕食の準備を手伝いに行く。



さて、4人での夕食中。
やはり話題は、俺の学校の話になる。

俺は今日一日の出来事を話していた。
魔法科への入学、母さんとの再会、魔法の個人授業、クラスFを取ったこと―

すももの様子はいたって普通だ。
話の内容に驚いたり、喜んでくれたり、心配そうにしたりする。
中でも、母さんとの再会にはかなり驚いていた。


だが、他の二人の様子が明らかにおかしい。

か~さんは何の話題にも動じず、終始ニコニコ。最初から知っていたに違いない反応。

詩織の様子はさらにおかしい。
最初はか~さんと同じような反応だったのだが、魔法の個人授業あたりから挙動が不振になっている。ちらちらと子リスのよう

に俺の様子を伺いながら、ご飯を頬張っている。怪し過ぎる。

「―とにかく、魔法科に入ることになって、来週までにクラスEを取らなきゃならなくなったんだ。というわけで、これから毎日

学校で魔法を教えてもらうから帰りが遅くなるよ」

「おっけ~よ、雄真くん。鈴莉ちゃんにビシバシしごいてもらってネ♪」

「頑張ってください、兄さんっ!!応援してますから!」

「むぐむぐむぐ」

詩織は相変わらずご飯を頬張っていた。




―小日向家、雄真の部屋


夕食の後、風呂に入り部屋でまったりしていると――


コンコン

「コホン。ゆ、雄真よ。た、鍛錬の時間じゃ、入るぞ?」

何故かおどおどした詩織の声が響く。

「ああ、どーぞ」


ガチャ

「ひっさ~つっ!!ベルキーック!!」

掛け声と共に飛来する小さな影。

「あまいわっ!!」

俺はその小さな影をガシッと掴んで、捕獲。

「くっ!腕を上げやがりましたですね、このヘタレ!ひっさつの”ベルキック”を止めるとは大したものですっ。しかし、次は

こうはいかないですよっ!!」

「いきなり攻撃してきて何だその態度は。バラすぞこの野郎」

「・・・バ、バラっ!?や、野蛮です~っ!!悪魔です~っ!!最低です~っ!!詩織様っ、このヘタレに鉄槌をですっ!」

そうやってベルとギャーギャー騒いでいると、
ちらちらとこっちを窺っている詩織とふいに目が合った。
かと思うと、詩織は慌てて目を逸らす。

ん?
詩織の奴、夕食の途中からずっと様子がおかしいぞ。
いったいどうしたってんだ?

「おい、ベル。詩織の奴、どうしたんだ?様子がおかしいぞ」

「詩織様を呼び捨てにするなですっ!馴れ馴れしいですよ、このヘタレっ!!」

「んなことより、どーなんだ?」

「ったくですっ。・・・そーですね、夕食の途中からずーっとヘタレの様子をちらちら見てらっしゃるようですが。原因は不明です

っ。どーせ、ヘタレがまたろくでもないことをしたに違いないですっ!」

「相棒。何かやったのか?」

「・・・いや」

んなことをした覚えは無いのだが。

とりあえず、鍛錬のため詩織を部屋に迎え入れ、床に敷いた座布団に座ってもらう。
その向かいに、机をはさんで俺が座る。

向かい合って座ると、さらに詩織の様子がおかしくなる。
明らかに俺の目線を避け、居心地が悪そうにおどおどしている。
いつもなら、自信に溢れた表情で堂々としているのだが。


俺は意を決して、聞いてみることにした。

「なあ、詩織。何かあったのか?」

詩織は、ビクッと身体を強張らせる。

「ななな、何がじゃっ!?」

声も裏返ってるし。

「晩飯の途中から様子が変だぞ?一体どうしたってんだ」

「わ、わわ、妾はいつも通りじゃぞ!?」

いつも通りじゃねーだろ。

「おーい。こんな状態じゃ鍛錬できないだろ?何か知らんが、言いたいことがあるならはっきりしろよ」

「詩織様に向かって、何て口の利き方をするですかっ!!この・・・もがもがっ!!」

うるさいベルには、ティッシュを丸めて口に突っ込む。



しばらく詩織は目を泳がせながらおろおろしていたが、
やがて観念したのか、ふぅと息を吐きぼそっと呟いた。

「・・・・・・んじゃろ」

ん?

「何だって?」

俺は詩織に耳を近づける。

「だからっ!怒っておるのじゃろ!?」

「はい?」

怒ってる?俺が??

「ふんっ!平静を装っても無駄じゃ。お主の腹の中は、黒い感情が渦を巻いていて今にも噴き出しそうなのはわかっておるぞっ

!」

一気にまくしたてる詩織。

「別に平静を装ってることはないぞ。それに何で俺が怒ってるんだ?」

「ふんっ。夕食の時に言っておったではないか。鈴莉と再会し、魔法の教えを請うたと。ならば聞いたはずじゃ、妾がお主に嘘

をついていたことをっ!!」

ああ、詠唱魔法の使い方の話か。

「ああ、聞いたぞ。まあでも、今くらいのレベルになるまで無理だったんだろ?だから別に詩織を責めはしないって」


「・・・・・・ほ、ほんとうか?ほんとうに怒っておらんのか?」

心配そうに恐る恐る確認してくる。

「だから怒ってないって。・・・あっ、でも今朝言ってたケーキを奢るのはナシな」

詩織は、ほっとしたかと思うと、次はガーンとうなだれた。

「・・・うっ、うう、あう、ケ、ケーキが・・・。・・・う~、し、仕方、あ、あるまい・・・」

ちょっと可哀相なくらい、しゅーんと落ち込む詩織。

「詩織様~、大丈夫ですか?しっかりするですっ!」

ふにふにふにふに

ベルは詩織の肩に乗り、頬をつんつんと突いている。

「・・・・・・(しゅーん)」


「――だめですっ。反応なしです。屍ですっ。
こうなったら、このベルが詩織様の仇を討つですっ!!ヘ~タ~レ~っ!!覚悟するです~っ!!」

魂の抜けた詩織と、戦闘態勢のベル。

あ~もうっ!!何なんだこれはっ!?
俺が何したっていうんだよ、くそっ!

「ええぃっ!!わかったっ!わかったからっ!ケーキは約束通りご馳走する!これでいいだろっ?!」

詩織はまだ、ぼへーっとした状態。
どうやら、今のセリフが脳に沁みこむまでタイムラグがあるようだ。

「・・・・・・んはっ!?わ、妾は一体っ!?」

ようやく魂が戻ってきたようだ。
つーか、そこまでショックを受けることか?

「―ったく。つまりは、嘘のことは怒ってないし、ケーキも約束通りご馳走するってことだ」

「おお~っ!とてもグッドじゃ。これで安心して鍛錬が出来るというものじゃの~」

なんちゅう現金な奴だ。
ベルも紙ふぶきなんかばら撒くんじゃねぇ!



おっと、こんなアホなやりとりしてる場合じゃないな。
あのことを聞かないと。

「なあ、詩織。一つ聞きたいことがあるんだが」

「なんじゃ?」

「”婿候補”ってのは何だ?」

ピキッと詩織の表情が固まった。
顔色も急速に青ざめていく。

「おおお、お、お主。鈴莉の前で『流身術』を使ったのじゃなっ!?」

「ああ、使った。その後に”婿候補”の話を聞かされたんだ。初耳の話で随分驚いたなぁ。
で、一体どういうことなのかなぁ??」

喋り方は普通だが、最大限のプレッシャーを与えつつ質問する。

すると詩織は、冷や汗をダラダラと流し、あうあう状態に。

「あ~う~。わ、妾も最初は、お、お主に『流身術』を教えるつもりはなかったのじゃ~」

俯き、両手の人差し指をこねこねしながらポツポツと語りだす。

「――お主があまりにもじゃな、、その、何じゃ、、、わ、妾好みのじゃな、、お、男に成長していくから・・・ごにょご

にょ・・・・・・」

顔を真っ赤にしながら何やら言い訳をしているようだが、声が小さすぎて全然聞こえねーぞ。

「おーい、詩織ぃ。さっきから何言ってるんだ?’教えるつもりはなかったのじゃ~’から先が全然聞こえねーぞ」

「・・・う~~~、う~~~~、う~~~~~っ」

「なんだそりゃ。サイレンのマネ?」

「いい加減にしやがれですっ、このヘタレっ!!これ以上詩織様を困らせたら、ベルの奥義が炸裂するですよっ!」

ベルの奴が俺と詩織の間に入ってきやがった。

「邪魔だぞ、ベル。俺は詩織にきちんと説明してほしいだけだ」

「じゃあ、ベルが代わりに説明してやるですっ!」

「ベ、ベルっ!?」

「大丈夫ですっ、詩織様。ベルは詩織様のマジックワンドですっ!詩織様の言いたいことくらい手に取るようにわかるんですっ

!!」

――そうなのか?マジックワンドってそんな機能あったっけ?

「いいですかっ、よ~く聞くですよっ?
先ほど詩織様がおっしゃった通り、最初は『流身術』を教える気はなかったのですっ。ですが師匠としては、弟子に自分が身に

つけた技術は全て伝えたいっ!と思うのが心情ですっ。ということで、ヘタレには勿体ないと思いつつも『流身術』を教えてし

まったという訳ですよっ!”婿候補”はそのおまけですっ!」

「おまけっ!?”婿候補”がおまけかよっ!!いらんわっ、そんなおまけっ!!」

俺がそう言った途端、詩織が泣きそうに。

「・・・うっ、うっ・・・。雄真は、妾の婿になるのがそれほどまでに嫌なのじゃなっ!そんなに嫌われていたなんて、ショックじゃ

あっ!!雄真のバカーっ!アホーっ!わーん!!」

詩織がわんわん泣き出す。

「ヘ~タ~レ~っ!!詩織様を泣かせたですね~っ!!か~く~ご~です~っ!!!」


な、なんでこんなやっかいな展開に~っ!

「ちょ、ちょっと待てっ!!お前が嘘を並べた挙句、”おまけ”なんて言うからだろっ!?」

「聞き捨てならんです~っ!ベルの所為にした上、嘘つき呼ばわりですか~っ!!確実に仕留めてやるです~っ!!!」


「おーい、ゼク!助けてくれ~っ!」

「無茶いうぜ、相棒。いくらオレ様でも、これはお手上げだぜぇ」


「何をブツブツ言ってるですかっ!これでも食らいやがれですっ!!
ラ・ヴァース・ド・ルーア・フェ・ルエ・・・」

ベルが片手をこちらへ向け、詠唱を始める。って――

「待て待て待て待てぇ~~っ!!シャレにならんぞっ!!」

あんなもん食らった日には、確実に全治一ヶ月。

「し、詩織~っ!!!止めてくれぇ~っ!!!」

「・・・しくしくしく・・・」

げげっ、この状況でまだ泣いてやがる。

「くそっ!!自分でなんとかしないとっ!!ゼクっ!!」

「あいよ!」

何とか、障壁を~っ!

「・・・レオ・ル・マナ・イルエ・ヴァシュテ!!」

「ディ・ラティル・アムレスト!!」


ボッッッガーン


俺の意識は急速に闇の中へ吸い込まれていった・・・




―惨劇の1時間後


「・・・・・・ん、ん~。ここは?」

「おっ、気がついたようじゃな?雄真」

「大丈夫か?相棒」

「ヘタレは大げさなんですっ!」

むむむ?
あっ、そーか。俺はベルの魔法を食らって――

「~~っ!?し、詩織っ!!!今は何時だっ!?あれから何時間経ったっ!?」

「えっ!?いっ、い、1時間じゃが?」

「何てこった・・・。もう9時じゃねーかっ!!明日は10時に学校なのに!!」

早く鍛錬を終わらせないと、睡眠時間がぁ!

「こうしちゃおられ・・・うぐっ!!」

「こらっ!無茶するでない。障壁のおかげで威力は半減したとはいえ、クラスBの魔法の直撃を受けたのじゃ。そう簡単に回復す

るわけなかろう」

起こしかけた身体をまた倒す。

フニ。

んっ?なんか頭に柔らかい感触が。
しかも、詩織の顔と身体がやたらと近いような・・・?

これは、この体勢はまさかっ!?
ひ、膝枕~っ!!!

「なんじゃこりゃぁぁあ~っ!!」

「う、うるさいの雄真。それに暴れるなっ。くすぐったいじゃろうがっ」

頬をうっすらと赤めた詩織の顔が目の前にある。

わけがわかんねぇ。
この1時間に何があった?
1時間前は、こいつ泣いてなかったか?
どういうことだ~っ。


(よう、相棒。わけがわからんって感じだな)

(おい、ゼクっ!これは一体どーなってる!?)

(な~に、簡単なことだぜ。相棒がブッ倒れてる間に、オレ様が話をつけてやったのさ。『相棒は”婿候補”自体に不満はない

。一言もなしにされたことに怒ってる』ってな)

(お、お前っ!?なに勝手にっ!!)

(ど~でぃ。さすがオレ様だろ~。これで、まる~く収まったってこった。おっと、礼はいらねぇぜ?)

(余計にややこしくなっただろうがっ!!この――)


「ゆ、雄真よ。悪かったの。以前から言おうとは思っておったのじゃが、いざ言おうと思うと否定されるのが恐くての」

「ん・・・ああ」

「じゃが、お主が認めてくれた今っ!お主を”真の婿候補”にする決心がついたのじゃっ!!」

「あ、あのさ・・・詩織?」

「”婿候補”というのは”真の婿候補”になる前段階に過ぎん。現当主、つまり妾の父親じゃが、に認められてこそ”真の婿候

補”になれるのじゃ!!」

「だからさ・・・詩織ってば」

「これからはどんどん『流身術』を教えていくぞっ!そして、父上に認めてもらうのじゃっ!!そして・・・お主と妾は・・・」

ぽやーんとして遠くを見つめる詩織。

「おーい。もしもし?」


それから10分後、現実に帰ってきた詩織は”今日の鍛錬は休みじゃ。じゃが、明日の朝からはビシバシいくから覚悟しておく

のじゃ~”と言って、小日向家を後にした。

詩織があそこまで俺を婿にしたがる気持ちはよくわからんが、
とりあえずは機嫌が直ったのでよしとするか。
どーせ、”真の婿候補”なんかになれるわけないし。


さて、ベルの魔法のダメージもあるし、明日も大変そうだ。
ちょっと早いがもう寝るとするか。

ベッドに入り、右の手に向かっていつものセリフ。

「おやすみ、ゼク」

「おう。安き眠りを、相棒」


俺の意識はすぐに闇に溶けていった・・・すぴ~



第五話へ  ⇒第七話へ


++++++++++++++++++++++++++++++++
☆★あとがき★☆

入学式当日、しゅ~りょ~っ。

やっと一日経ちました。(遅っ)

次こそは、春姫と杏璃が出てまいりますヨ~。

そうそう、この話の中にとある映画のワンシーンに似せた部分が
あります。さて、わかるかな?



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はぴねす!SS『魔力の行方』|第五話

―入学式当日:午後4時 ”御薙教諭研究室”


「――がふっ」

クラスFの魔法式集中個人授業が始まって、3時間。

本来なら、ゆっくり1ヶ月くらい使ってやる内容を一気に詰め込んだ結果――

俺の繊細な神経は、過度の集中力強制により磨り減り、
身体は見るも無残なボロ雑巾と化し、机に突っ伏していた。


そんな息子の様子に、ついさっきまで惨劇(授業)を繰り広げていた人物が一言。


「・・・情けないわねぇ」


そして、右腕からは――ゼクが。

「・・・情けねーぜ、相棒」



なんて――なんて、理不尽なんだ。

今すぐこやつらに、頑張った俺にに対する不当な扱いを撤回させねば!
とは思うのだが、身体が動きませ~ん。
なんとも歯がゆいことか。

おそらく、脳が膨大な情報を一気に処理したために、一時的にフリーズしているんだろう。
復活にはもう少しかかりそうだ。


パンパン

「はいはい、雄真くん。時間も無いんだから起きなさ~い」

「・・・・・・(まだ無理っす)」


ぺしぺし

「ほらほら、雄真くん。起きなさ~い」

「・・・・・・(もうちょっと)」



「・・・まったく。この程度でダウンなんて、先が思いやられるわねぇ」

「ああ、相棒の不甲斐なさには言葉も出ねーぜ・・・」

むぐぐ。言いたい放題だ。あんたらは鬼か。

「いい?雄真くん。魔法使いを目指すなら、これからこの何百倍の量を頭に詰め込まなきゃならないのよ?こんなところでつま

づいてたら、みんなどんどん先に行っちゃうわよ?」

はいはい、起きますよ。起きますとも。


俺は大分回復した頭でもって、身体を起こす。

「ふぅーーー」

ちょっち深呼吸。


「あっ、やっと起きたわね」

「ちょっと、母さん。さっきのはあまりにもひど――」

「さあ、次は実際に魔法を使うから、場所を移動するわよ」

俺の話など聞く気ゼロ。
いそいそと移動の準備を始める母さん。

「――理不尽だ・・・」





―俺の不満はさておき、母さんと向かった先はというと。

魔法練習場、通称『ステージ』と呼ばれるところ。

魔法科校舎に隣接し、広さは講堂の倍ほど。
半径15メートル程の円形の床がせり上がり、ステージのようなものを形成。
その数、最大8つ。

基本的にこの上で、魔法科の実習は行われるとのこと。
ステージには結界が張られ、魔法が暴発したときの被害を最小限に防ぐ。

ちなみに、クラスアップの試験もここで行われることが多いそうだ。


そんなステージの一つに、俺と母さんは立っている。

「あのさ、母さん」

「な~に?雄真くん」

「魔法式はさっきの個人授業で教えてもらったけど、肝心の”俺が魔法を使う方法”を教えてもらってないんだけど」

本当にそんな方法があんのか?

「そうね。じゃあ、ちょっとおさらいから始めるわね」

「まず、魔法使いの身体の中に”魔力”という水の入ったタンクがあるとしましょう。そのタンクの容量が魔力量ね」

「そして、そのタンクに蛇口が付いてるの。その蛇口の口径が――」

「魔法力」

「正解。魔法使いは各々、蛇口を捻って魔力を取り出し、それを構築した魔法式に流すことで魔法を使える」

「雄真くんの場合は、魔力量・魔法力共に一般的な魔法使いの数十倍なの。それを抑えるために、ゼクちゃんを着けて数多の封

印の魔法式を埋め込んでいるわ。簡単に言うと、蛇口にぐるぐる紐を巻いているようなものよ」

「だから、紐を一本ずつ解いていく封印解除と、取り出した魔力の行き場所確保のための身体強化魔法をずっとやってきたんだ

よなぁ」

あの中学生みたいな外見から変わらない詩織の手によって。


「そういうこと。で、そんな雄真くんが魔法式構築を必要とする詠唱魔法を使おうとすると、魔法式を構築しながら、封印も解

いて魔力を取り出して、魔法式に流すという流れが理想的なの」

「ああ、まさしく詩織から教えられていた方法だな」

「朝も言った通り、その方法は理想論なの。例えると、日本語と英語を同時に喋るようなものよ。絶対無理でしょ?」

「そりゃ無理だよなぁ」

「という訳で、もっと現実的な方法を教えるわね。
それじゃあまず、身体強化魔法、見せてくれるかしら?」

「――えっ?今、ここで?」

「そうよ?封印も限界まで解いて、今の雄真くんが使える全力でね」

「り、了解」

そーいえば、家の庭以外で使うの始めてだなぁ。
何か緊張するかも。

「いいか?ゼク」

「おうよ!」

ゼクに埋まっている封印を解いていきながら、
魔力を身体に纏う。

10%、これが今の俺の全力。

緊張のせいもあってか、ちょっと普段よりスピードが遅かったような。


ふと母さんを見ると、何やら神妙な顔をしている。

「・・・・・・想像以上にすごいわね」

「えっ?何が?」

「何が?じゃないわよ。あなたが今放出してる魔法力、普通の魔法使い10人分くらいに匹敵するわよ?これほどの魔法力を単

独で出せる人間は初めて見るわ」

「マジで!?」

まさかそれほどだったとは。
俺ってすげ~。

「まあ、いくら強大な魔力を所有していても、使い方が未熟だったら宝の持ち腐れだけどね」

確かに、俺より魔法力の低い詩織にいつもやられるしなぁ。


「さてと。今から使うクラスFの魔法にそんなにすごい魔力はいらないから、そうね、今の20分の1くらいに抑えて頂戴」

「っと、了解」

さっき解いた封印を再構築していく。
このくらいかな?

「はい、オッケーよ。今のそれくらいの魔法力がこの学園の魔法科生徒の平均なの。感覚をよ~く覚えておきなさいね。私や詩

織の前以外でこれ以上の魔法力の開放は禁止よ。わかった?」

「・・・・・・?」

「どうしてかわからないって顔ね。
い~い?強力な魔力開放っていうのは、とっても目立つの。結界を張ってないと地球の裏側からでも感知されてしまうわ。感知

される、つまり常人離れした魔力を持つ雄真くんの居場所がわかってしまうとどうなると思う?」

「・・・・・・どうなるんだろ?」

「世界中から雄真くん目当てに人が集まってくるわ」

「俺目当てに?」

「そう。目的は様々だけどね。研究材料、兵器利用、跡継ぎ、、、などなど。利用価値は数え切れないくらいあるわね」

「げげっ。勘弁してくれよ・・・」

「というわけで、人前で使うときは魔法力の開放し過ぎに気をつけるのよ?なるべく目立たないように、周りに合わせるの」

母さんはピッと指を立てて念を押すように確認する。


「じゃあ、詠唱魔法の使い方を説明するわ。身体強化魔法はそのままで聞いて頂戴」

「ああ」

「今、雄真くんは蛇口から魔力が一定に流れている状態っていうのはわかるわよね?」

コクン

「その流れている魔力は全部、身体強化魔法に消費されている訳だけど、一部の魔力の流れを変えて詠唱魔法の魔法式に流すと

、あら不思議。詠唱魔法も使えるのっ♪」

「げげげっ!?んな簡単にっ!?」

「理屈だけだったら簡単ね。身体強化魔法を使いながら詠唱魔法を使うだけだもの」

おおお、なんて簡単な方法だったんだぁ!!
今まで気づかなかった俺はアホか?アホに違いないっ!!

「俺は――アホだったのか・・・」

「ゆ、雄真くん?一体どうしたの?」

母さんは急にしゅんとした俺に心配そうに声をかける。

「いいんだ、母さん。俺、アホだから・・・。ウフヒヒヒ」


エクトプラズムを出しつつ、アレな状態の俺を見て、母さんはあわててフォロー。

「ゆ、雄真くんの頭が悪かったとかそういうのじゃないのよ?
気づかないのも無理ないのよ。身体強化魔法でもレアなのに、同時に詠唱魔法を使うなんて普通考えないわ。詩織だって、気づ

かれないようにしていたはずだわ」


気づかないのが普通?なのか?

「た、確かに、詩織が同時使用したのは見たことないけど・・・」

「でしょ?それに、口で言うのは簡単だけど、実際に同時使用しようとすると身体強化魔法がすっごく安定していないと無理な

んだから」

確かに、昔は気を抜くとすぐに解けそうになったっけ。
そんな状態では、同時使用なんか無理だったってわけか。

「そんな理由もあるから、詩織はずっと秘密にしてきたようね。でも、何年も鍛錬を続けてきた今の雄真くんなら、おそらく使

えるはずよ。さすがに、高いクラスの複雑な魔法式の魔法は無理だけどね」

「そういうことだったのか・・・。なんか釈然としないけど」

う~む。なんかうまく丸め込まれた感がするなぁ。


パンパン

「はいはい、説明はここまで。
理屈がわかったなら、あとは実践あるのみよ。早速、初歩の初歩、魔法球からいってみましょう。魔法式は覚えてるわね?」

「ああ、さっき習ったばっかだし」

「それじゃあ、母さんに向かって撃ってきていいわよ」

そう言って、母さんはニコリと微笑む。

よーしっ!
俺は精神を集中しながら、右手を前に掲げる。

「エル・アムダルト・リ・エルス・ディ・ルテ・・・・・・」

手のひらの前に魔力の球が構成されていく。

「カルティエ・エル・アダファルス!」

魔法球が母さんに向かって放たれた。


それを、母さんは――

「・・・・・・アムレスト」

光の障壁を展開。
俺の魔法球はあっさりかき消された。

まあ、消されるのは当然――だがしかし!!

「おおー!!詠唱魔法使えたぁー!!わーい!」

「やったな、相棒!!わーい!」

俺とゼクは大喜びだ。
仕方ないだろう、念願の詠唱魔法が成功したのだから。


「喜んでるところに水を差すようで悪いんだけど。今の魔法球、点数で言うと20点よ?」

「えっ!?20点っ!?」

「そうよ。魔法式構築が雑だし、魔力は流し過ぎだわ」

「きびし~っ!」

「魔法式構築はもっと丁寧にすばやく。魔力は魔法式全体に行き渡る程度が適量。少なくても多くてもダメ。わかった?」

「ん~、難しいな」

喜びも吹っ飛んじゃったよ、トホホ。


「それじゃあ、その辺に気をつけてもう一度ね」

「ういっす」

それから約1時間、あーだこーだ言われながらクラスFの魔法の練習が続いた。



「エル・アムダルト・リ・エルス――エル・アダファルス!」

俺の手の前から魔法の矢が放たれる。
矢は真っ直ぐに母さんに向かって飛んで行き、光の壁に当たって消えた。

「んー、85点ね。さすが雄真くん。この短時間で大分コツが掴めてきたようね」

「まね。ゼクのややこしい封印の魔法式とか、身体強化魔法の細かい魔力コントロールとかと比べるとずいぶん楽だし」

「それは当然ね。ゼクちゃんの封印や身体強化魔法は、クラスSに分類される高度な技術だもの」

「クラスSっ!?どーりで難し過ぎるわけだ・・・」

つーか、クラスSやってからクラスFって。
効率悪すぎ。


「さて、雄真くん。今日の目標、覚えているかしら?」

母さんは光の壁を解き、微笑みながら質問する。

「えーと、クラスFを取るだっけ?」

個人授業の最初にそう言っていたと思う。

「その通り。というわけで、今からクラスFの認定試験をしちゃいます♪」

「げげっ!?マジでするの!?」

「マジでするわよ?今日の目標だもの」

「せ、せめて明日とか」

「だーめ。今日の目標は今日中に達成しないと、来週までにクラスE取れないわよ?」

「そりゃそうだけど」

「往生際が悪いわよ、雄真くん。ほらほら、準備するからその間にこの服に着替えてきて」

言いながら、母さんは四角い箱を手渡してきた。

「これって、魔法服?」

「そうよ」

魔法服とは、防御魔法がかけられた服。
魔法を使うときに着るのが普通で、ダメージを軽減してくれる役割を持つ。
俺が朝の鍛錬のときに着ているジャージも一応魔法服だ。

「しょうがないか。じゃあ、着替えてくる」

「はい、いってらっしゃい」

母さんは上機嫌で手をフリフリしていた。



―で、着替えて戻ってくると、すっかり準備は整っていた。

ステージを囲むように、観客席のようなものが出現しており、
ステージにはスポットライトが当たっている。

「ボクシングの試合みたいだな~」

クラス認定試験って、こんなとこでやるのか。


「あら、雄真くん。早かったわね。その服、似合ってるわよ」

ステージの端でごそごそしていた母さんがこちらに気づいて、近づいて来る。

「そう?―っていうか、思いっきり普段着だし」

母さんからもらった箱の中には、Tシャツ、長袖シャツ、ジーパンが入っていた。
それに着替えた訳だが、俺が普段ちょっと外に出かけるときと何ら変わりない服装である。
誰も、魔法服なんて思わないだろうなぁ。


「さて、準備も出来たし始めましょうか。観客が一人も居ないのが寂しいけどね」

言いつつステージ上に移動していく。俺もそれに倣う。

「普通は観客がいるってこと?」

「そうよ?クラスDまでは、家族や友達とかが応援に駆けつけたりするわね。クラスC以上は、年二回で時期もきっちり決められ

てるから、お祭り騒ぎになるわね。注目の人の試験なんて、チケットが抽選になることもあるわ」

チケットが抽選って。
格闘技やコンサートじゃあるまいし。

「観客かぁ。居たら緊張しそうだし、居ない方がいいかも」

「本当は居た方が緊張感が出ていいんだけど。まあ、今日のところは仕方ないわね」


ステージ上である程度の距離を置いて対峙する。

「では、所属―瑞穂坂学園魔法科1年A組、小日向雄真のクラスF認定試験を始めます。認定は私、認定者番号―0008745、御薙

鈴莉が行います。制限時間は15分、その間に実力を示して下さい。ちなみに、母さんからも攻撃しますのであしからず。では

、始めっ!」


げっ、始まっちまった。
えっと、ゼクの封印を少しだけ解いて――よし。このくらいなら一瞬だ。

まずは――

「あっ、相棒っ!!来るぜ!」

何ぃっ!?いきなり攻撃ですか、母さん!

見ると魔法球がすでに飛んできているところ。

詠唱は――間に合うか!?

「ディ・ラティル・アムレスト!!」

光の障壁を展開。
と同時に魔法球が着弾。

ボガン!

即席の障壁は一撃で砕けた。

くっ!やっぱりちゃんと詠唱しないとっ!


「次々来るぜ!相棒!!」

見ると次々に魔法球やら矢やらが飛んできている。

げげげっ!ちょっと待ってよ、母さん!!
詠唱なんかしてる暇がないって~!

俺は詠唱するのを諦め、その場から逃げ出す。

着弾、着弾。

ドガ!ボカン!ドカン!

「ひぃ~~っっ!!」


それから10分間、俺は母さんの放つ魔法を避けながら逃げ回っていた。


「ほらほら、雄真くん。いつまで逃げ回ってるつもり?残り5分切ったわよ?このままじゃ、クラスFの認定は無理よ~♪」

くぅ~~っ!
詠唱する暇がねえ~っ!

こうなったら!!


俺は逃げるのを唐突に止め、その場にぴたっと停止。

そして――

「エル・アムダルト・リ・エルス・・・・・・」

「あらあら、雄真くん。自棄になっちゃダメよ?その状況で、詠唱が間に合うはず――」

俺はニヤリと口の端を上げながら、その場から掻き消える。

「――えっ?」


「ディ・ルテ・カルティエ・エル・アダファルス!!」

俺は唖然として母さんが見つめる元居た場所から、10メートルほど移動した場所で詠唱を完成させ、魔法球を放つ。
もちろん、放った直後に次の魔法の詠唱も開始する。

母さんはというと、
唖然としていたのも1、2秒。すぐさま俺の位置を把握し、障壁も展開。
ことごとく俺の魔法を防御、相殺していく。

と、そこで。

――カーン!!

ボクシングの試合終了のゴングが鳴り響く。(なんでやねん!)


終わったのか?

母さんがニコリと頷いたのを見て、俺は呪文詠唱を終了した。

「ふぃ~~」

「お疲れ、相棒」

俺はゼクの封印を再構築しながら、深く深呼吸。
そこへ母さんがゆっくり近づいてくる。


「お疲れ様。今日の予定はこれで終了よ」

やっと終わったぁ。早く帰ってゆっくりしてぇー。
っと、その前に確認。

「えーと、さっきの試験の結果は?」

「ん?ああ、結果ね。合格よ」

「ええっ、合格!?やられ放題だったのに?」

「そーよ?元々、クラスFの一部の魔法が使えれば合格なの。ちょっと張り切って攻撃しちゃったけど、本当は攻撃もなしが普通

よ」

「えええええっ!?俺の苦労は一体っ!?」

「それより雄真くん。あの途中で使った技、『流身術』でしょう?なんで、雄真くんが使えるの?」

そう、途中で俺が瞬間移動した技は、『葉月流-流身術』の技の一つ、『瞬身』だ。
一般的に、”縮地法”とか言われる技。
流身術の場合、強化した脚力と魔力の放出を合わせて瞬時に何メートルもの距離を移動する。
俺の場合は、まだ10メートルちょっとが限界だが。

「えっ?だって、身体強化魔法の師匠は詩織――」

「それはわかってるわ。でも、私がお願いしたのは”封印の制御”と”身体強化魔法”の鍛錬よ?それがまさか、流身術まで教

えてるなんて」

「身体強化魔法の一環とかだと思うけど」

「いい?雄真くん。葉月流-流身術はとても門が狭くてね、弟子なんてほんの数人しかいないの。そして、詩織は一人娘。この

意味がわかる?」

「……」

「つまり、自然と弟子の中から跡継ぎが選ばれる。弟子=婿候補ってことなのよ」

「む、婿候補っ!?聞いてねーっ!!全っ然、聞いてねーっ!!」

詩織の奴~っ!!どういうつもりで流身術を俺に教えたんだぁ!!

「まあその辺は、詩織に直接聞いて頂戴。なんとなく理由は想像つくけどね」

「ああ、帰ってから問い詰めてやる!!」

「じゃあ、今日は解散。明日は土曜だから、そうね、、午前10時に研究室にいらっしゃい」

「10時っ!?ちょっと早くない?昼からとかがいいなぁ~なんて」

「だ~め。時間がないのはわかってるでしょ?」

「むぅ」


「じゃあね、雄真くん。気をつけて帰るのよ?音羽と詩織によろしく言っといてね」

母さんは『ステージ』の片付けがあるのだろう、くるりと向きを変え離れていく。

「りょーかい。また明日、母さん」

「また明日、雄真くん」




俺は魔法服から制服に着替えて、学園を後にした。
―時刻は午後5時35分。





第四話へ  ⇒第六話へ


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☆★あとがき★☆

やっと、入学式当日学園が終了。

あと一話で入学式当日が終わる予定っす。

春姫と杏璃を所望の方はもう少しお待ちを。。



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